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脳の発達を左右するのは氏か育ちか~大脳機能の発達メカニズムの解明 (2015年11月11日)

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九州大学と京都大学の研究グループが、大脳視覚野の神経細胞が機能を獲得するメカニズムの一端を解明しました。

視覚情報を処理する大脳の神経細胞が、最初は神経活動によらずに機能を獲得し、その後、神経活動に依存して機能を環境に最適化させることを発見。これは、「脳の発達を左右するのは氏か育ちか」の議論に貢献する結果といえます。

「脳の発達を左右するのは氏か育ちか」、つまり、脳の神経細胞の機能が遺伝的に決まっているか、それとも生後の環境や神経活動によって決まるのかについては長く議論されてきました。一説では、神経細胞がはじめに機能を獲得するときから、神経細胞自身の活動が必要と考えられてきました。

神経細胞がどのようにして機能を獲得するかを調べるために、視覚野の方位選択性という機能を調べました。私たちが物を見るとき、視覚情報を処理する大脳の領域では、個々の神経細胞が特定の場所にある特定の傾きをもった線分に反応しています。この性質は方位選択性とよばれます。研究グループは今回、この方位選択性の形成を左右するのが「氏か育ちか」を調べました。実験にはマウスを用いて、胎児期から神経細胞の活動を抑制し、その後、成長したマウスで方位選択性が正常に発達しているかどうかを検証しました。

研究の結果、大脳の神経細胞がはじめに機能を獲得するとき、神経活動が重要でないことを初めて明らかにしました。この結果は、はじめの機能獲得には「氏」が重要と解釈できます。

はじめの機能獲得の後、情報表現が最適化される次の段階があり、そこに自発神経活動が重要なことも明らかにしました。この結果は、脳の機能発達は「氏か育ちか」だけではなく、発達期の脳が、自分で起こす神経活動を使って機能を最適化させるメカニズムをもつことを意味します。

この研究により、大脳機能の発達メカニズムの解明へ向けて大きく前進するとともに、発達期における神経活動の異常が原因となって発症する脳・精神疾患の病態理解につながることが期待されます。


大脳視覚野の神経細胞が機能を獲得するメカニズムの一端を解明 | 京都大学

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投稿者 kksblog : 2015年11月11日 21:42


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