●「学校施設老朽化対策先導事業」における4自治体の基本計画書を公表 (2014年08月14日)
文部科学省では、老朽化した学校施設の効果的・効率的な長寿命化を目指した「学校施設老朽化対策先導事業(平成25年度)」において、委託先である4自治体が策定した基本計画書(概要版)を公表しました。
これらの自治体は北海道釧路市、東京都世田谷区、奈良県生駒市、株式会社青木繁建築工房(千葉県習志野市と連携)で、今回公表される基本計画書は、有識者、教職員や地域住民らが参加するワークショップなどでの検討を踏まえたものとなっています。
まず「優れたリニューアル改修モデル」として提出されたのは、東京都世田谷区の深沢中学校と、奈良県生駒市の桜ヶ丘小学校の計画書です。深沢中学校は昭和38年地区の校舎、昭和55年築の屋内運動場があり、これらを改修するにあたって、「建物にやさしい、人にやさしい、環境にやさしい学校施設を目指す」としています。具体的には、維持管理しやすい内外追う、エレベーターの設置・昇降口周りの段差解消などバリアフリー化、さらに太陽光発電設備の設置、外断熱や壁面緑化などによる省エネルギー環境などの特徴があります。
桜ヶ丘小学校は昭和56年築の校舎・屋内運動場があり、塗装による躯体の長寿命化、太陽光発電やペアガラスの導入、照明・空調設備の更新による省エネルギー化、管理マニュアルの作成による「大切に長く使う」ことを実現する、といった計画となっています。
北海道釧路市の大楽毛中学校、株式会社青木繁建築工房による大久保小学校の計画は「100年学校モデル」です。大楽毛中学校は昭和53年地区の校舎・屋内運動場を持ち、これらを単なる延命化だけではなく、学習・生活環境の質的向上、防災機能の強化、省エネルギー化、バリアフリー化および地域連携の視点を重視した学校を目指します。他にない特徴として、沿岸部に近い学校であるため、塩害を考慮して特に構造上、避難上重要な部位に高耐久の塗装を塗布するとしています。
大久保小学校は昭和40年築の校舎、昭和34年築の屋内運動場があり、地域の書くとしてあり続ける100年学校を目指すとしています。具体的には、塗装による躯体の長寿命化、内装や設備の維持管理を容易に行うための工夫などの他、将来予測される、少子化による児童数の減少を踏まえて構造壁の配置の見直し、余裕教室の地域開放を可能とする計画などが挙げられています。
学校は子ども達が学習や運動などさまざまな活動を行う場所であると同時に、地域の拠点としての役割もあります。建設や改修に多額の費用が必要な公共施設として、子ども達の安全を優先させながらも、財政を考慮した計画が不可欠です。こうした計画を公表することで、行政を透明化するとともに、地域に暮らす人たちが学校を核とした地域活性化のあり方を考える、良いきっかけになるのではないでしょうか。
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投稿者 kksblog : 2014年08月14日 09:16