●子どものテレビ学習はライブと比べ、運動に関連する脳領域の活動が弱いことが判明 (2014年08月11日)
JST 戦略的創造研究推進事業にて、上越教育大学の森口 佑介准教授らは、目の前の他者(ライブの他者)から学習する場合とテレビの中の他者から学習する場合を比較し、子どもの脳の働きが異なることを示しました。
これまでの研究から、4~5歳頃からテレビの他者から学習できることが分かっています。しかし、テレビから学習する場合と、ライブで学習する場合とで、学習プロセスや脳内機序が同じであるかどうかは分かっていませんでした。
森口准教授らはこれらの先行研究に基づき、テレビから学習することが可能な5~6歳の幼児を対象に、ライブおよびテレビの他者から学習している際の脳活動を計測。幼児の脳活動を計測することは容易ではなく、これまでの研究報告は十分ではありませんでしたが、同研究では脳機能計測手法の1つである近赤外分光法を乳幼児に適用することで、検討が可能に。
同研究には、幼児(5~6歳)15名と成人15名が参加。参加者は、目の前のモデル(ライブ条件)およびテレビに映ったモデル(テレビ条件)がカード分けゲームをしている様子を観察(観察段階)。
カードには色と形の2つの属性があり、モデルは色か形のどちらか一方のルールでカードを分類します。その後、参加者にはモデルと同じルールでカードを分けるように指示(分類段階)。その結果、幼児と成人のどちらにおいてもカード分けの成績は、ライブ条件とテレビ条件の間に違いはありませんでした。
また、観察段階の脳活動を、近赤外分光法を用いて計測・解析した結果、成人においてはライブ条件とテレビ条件のどちらにおいても運動関連領野の酸化ヘモグロビン量は時間とともに増加。ところが、幼児においては、ライブ条件では左の運動関連領野の酸化ヘモグロビン量が時間とともに増加しましたが、テレビ条件では同領域の酸化ヘモグロビン量の増加は認められませんでした。
以上のことから、幼児も成人と同様に、ライブ条件とテレビ条件のどちらからも学習することが可能であるにもかかわらず、テレビから学習する場合は、他者認識と関連する運動関連領野が活性化していないことが分かりました。これらの結果は、ライブの他者とテレビの他者から等しく学習できる幼児においても、その学習プロセスや脳内機序は異なることを示唆しています。
今後は、運動関連領野以外の領域の活動がいかに異なるかを検討することで、テレビから学習する際の学習プロセスや脳内機序をより明確にしたいとしています。
学習方法は多種多様ですから、一人ひとりに合った方法を見つけてあげたいですね。
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投稿者 kksblog : 2014年08月11日 15:36