●大学入試改革の方向性に関する高校側、大学側の賛否は? (2014年01月27日)
(株)ベネッセコーポレーションが、全国の高等学校長および大学の学科長を対象に、高大接続の諸問題(入学者選抜、入学前教育、初年次教育等)について調査を実施しました。
現在、国で審議されている大学入試改革の方向性に関する高校側・大学側の賛否についてがわかる調査結果となっています。
まず、共通入試を基礎に大学が多面的な評価を加える入学者選抜には、高校・大学ともに6割程度が賛成しています。自由記述では多面的な評価を歓迎する声がある一方で、選抜における公平性を疑問視する回答も目立つことから、賛否双方に試験の公平性に対する問題意識があるといえそうです。
「現在のセンター試験の廃止」、「2種類の達成度テスト導入」には、高校で反対する割合が高い結果に。特に「国公立大学や難関私立大学への進学者が多い」高校では、反対が半数を超えています。また、「基礎レベル・発展レベルの2種類の達成度テスト導入」については、高校では反対の比率が高く、大学では賛成の比率が高い結果でした。自由記述では、「センター試験と何が違うのか」「なぜセンター試験を廃止する必要があるのか」等の声が多いようです。
「達成度テストの複数回受験」については、高校で反対が賛成を上回っています。高校では、特に「国公立大学や難関私立大学への進学者が多い」高校の反対率が高く、大学では私立の賛成率が高い結果でした。高校の自由記述では、行事や部活動への影響を懸念する声や、学習がテスト・受験対策中心に偏ることを危惧する声が多いようです。なお、達成度テスト(基礎レベル)の推薦・AO入試での活用には高校・大学ともに賛成が多い結果でした。
「達成度テスト(発展レベル)の結果の段階別表示」についての賛否は均衡。「順位や合否が決めづらい」等の声が多くあがっています。
入試制度改革による高校生の学習積極化への期待は高校・大学ともに高くはない結果に。高校では、高大接続改革で解決しようとしている「高校側の課題」が何であるか不明確と感じているようです。また一方では、「大学での進級や卒業の認定基準をもっと厳しくしたほうがよい」との回答も多くあがっています。
調査結果から、「大学入試制度改革だけでは、高校生の学びは改善されない」「高等学校長や大学学科長に、個別施策の意義や必要性が伝わっていない」という二点が見えてきました。新しい大学入試制度が、大学進学をめざし、入学し、学ぶ高校生、大学生にとって実りあるものとなるように、十分な検討の上で決まることが望まれますね。
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投稿者 kksblog : 2014年01月27日 20:54