●「座高測定」と「ぎょう虫卵検査」は不要?学校健康診断の在り方の検討会 (2014年01月20日)
学校では、年間を通じてさまざまな保健に関する行事があります。中でも重要な行事の一つは健康診断ですが、これには疾病をスクリーニングし健康状態を把握するという役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てるという、大きな二つの役割があるとされています。
文部科学省では、学校における健康診断について、今後の在り方を検討する会を設置し、平成24年5月から9回にわたり議論を重ねてきました。昨年12月に学校の健康診断に関する意見を取りまとめ、文部科学省ホームページにて公表しています。この中で、全国の学校で行われている「座高測定」「寄生虫卵検査」について、見直しの必要性を指摘しています。
座高は、発育の評価に有用であるものの、現状ではほとんど活用されていないという現状があります。子どもの成長を評価する上では、座高より身長曲線・体重曲線の方がより重要であることから、今後は身長曲線・体重曲線の活用を推進し、座高測定を省略することができると考えられます。また学校の健康診断は、かなり厳しいスケジュールで行われているため、効率化という点においても検討する価値はありそうです。
寄生虫卵検査については、現在ほとんどの学校でぎょう虫卵検査が実施されています。ぎょう虫は通常の衛生教育で充分に対応できる病気とされており、手洗いや清潔の保持といった基本的な衛生教育を徹底することで、寄生虫卵検査は省略可能だと考えられます。
また、衛生状態の良い現代においては寄生虫卵の検査の意義自体が乏しいとも言えます。実際に寄生虫卵の検査の検出率はきわめて低く、ここ10年は1%以下で推移しており、学校現場からも不要では、との声があがっています。一方で、寄生虫卵の検出率に地域性があり、陽性者が多い地域もあります。こうした地域には検査の実施、衛生教育の徹底を通じて引き続き対応に取り組むべきでしょう。
この他、子どもたちのライフスタイルの変化により予想される問題から、運動器に関する検診、生活習慣病や鉄欠乏性貧血などの発見を目的とした血液検査など、健康診断に新たに取り入れることを検討されている事柄もあります。健康診断は大切なことですが、学校生活において負担のかかる行事でもあります。内容を精査して、効率よく行えれば教職員、子ども、家庭、とみんなにとって素晴らしいことでしょうね。
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投稿者 kksblog : 2014年01月20日 09:47