●メダカの恋は「ひとめぼれ」より「顔なじみ」 東大研究グループによる発見 (2014年01月13日)
恋人たちに「今のパートナーを選んだきっかけは?」と聞いてみたら、どんな答が返ってくるでしょう。一目惚れ、身近にいるうちになんとなく、ちょっとしたきっかけで…聞いてて「ごちそうさま」と言いたくなりそうですね。ところで、どうやらあの小さなおなじみの淡水魚、メダカにも「恋ごころスイッチ」があるらしいんですよ。
メダカのメスは、そばにいた異性のメダカを目で見て記憶し、その求愛を積極的に受け入れる、ということが発見されました。さらに遺伝子操作で、求愛の受け入れを人工的に操作することにも成功したということです。これらは、東京大学大学院理学系研究家の奥山輝大博士、竹内秀明助教らと基礎生物学研究所などの研究グループによるものです。
実験では、メダカのオスとメスを1匹透明なガラスで仕切った「お見合い」の状態にしておきました。すると仕切りを外したとき、「そばにいたオス」「見知らぬオス」を一緒にしていてもメスは両者を区別して「そばにいたオス」を性的パートナーとして積極的に受け入れるのだそうです。このことからメダカは異性を目で見分けて記憶する能力を持っており、性的パートナーを選ぶときにその能力を使っているようです。
こうした、性的パートナーを選ぶ際に「相手を知っている」ことが決め手になる例は人間を含む多くの動物にあるそうです。ハタネズミの一種は生活を共にするパートナーを他の異性と区別し、積極的に性的パートナーとして受け入れます。逆にグッピーは、「見知らぬ異性」を選ぶ傾向があるのだそうです。
研究からはさらに、性的パートナーを受け入れる際に、拒絶から受入へとモードを切り替えるための神経細胞がつきとめられました。この部分が活性化して、メスの「恋ごころスイッチ」として機能するのだそうです。メダカの中に「見知らぬオス」をすぐに受け入れるメダカ変異体があり、そのメダカには「GnRH3脳内ホルモン」を合成する大型神経細胞の形態形成に異常が見つかりました。他のメダカでも、同じ部分をレーザーで破壊すると、変異体と同じように「見知らぬオス」をすぐに受け入れるようになったということです。
ヒトで機能的に似ている神経細胞を見つけることができれば、将来的にヒトが恋に落ちる神経機構や他者を覚えて区別するために必要な神経機構が見つかるかもしれない、と述べられています。もしそうなったら、社会や医学のどんなことに役に立つだろう?ちょっと興味を惹かれるこの研究から、一歩踏み込んだ「もしもの話」をしてみると面白そうですね。
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投稿者 kksblog : 2014年01月13日 09:23