●スーパーコンピュータ「京」で世界最高速の固有値計算に成功 (2013年12月10日)
理化学研究所が、スーパーコンピュータ「京」を使い、世界最高速の固有値計算に成功したことを発表しました。
100万×100万の行列での固有値計算を行った結果、これまで1週間程度必要だと考えられていた計算を、わずか1時間で計算。これにより、半導体や新材料の開発などのシミュレーションがより大規模化・高速計算が可能になるそうです。
行列の固有値計算(行列の対角化)は、半導体設計や未知の性質を持つ材料の開発、新薬設計などのための大規模なコンピュータシミュレーションや、ビッグデータにおけるデータ相関関係の解析などで必ず使用される計算法。小規模な問題を扱う場合には一般的なコンピュータでもわずかな時間で計算できますが、問題サイズが数倍になるだけで計算することが難しくなります。計算時間の削減のためには、「京」のような高い計算能力のスパコンを利用することが必要です。
固有値計算では専門的な数学の知識が必要になるため、専用の数学ソフトウエアを利用することが一般的です。しかし、現在のスパコンで利用されている標準的な数学ソフトウエアは1990年代後半のスパコンをベースに設計・開発されているため、「京」のような超並列コンピュータを想定して開発されていません。これらを背景とし、大規模コンピュータシミュレーションや、ビッグデータにおけるデータ相関関係の解析などに必要な行列の固有値を高速で計算できるソフトウエア『EigenExa(アイゲンエクサ)』が開発されました。
過去の世界最大規模の固有値計算として、40万×40万行列を3時間半で行った記録がありますが、EigenExaはそれを大幅に上回る大規模な計算に成功。極めて画期的です。なお、『EigenExa』はオープンソースソフトウエアとして一般に公開されています。
「京」の能力を最大限に生かせるソフトウエアの開発、そしてフリーでの公開に、さまざまに活用されることが期待できますね。
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投稿者 kksblog : 2013年12月10日 17:46