●日本人の大人読解力・数的能力は1位 IT活用はOECD平均並み (2013年10月08日)
OECDが初めて実施した国際成人力調査(PIAAC=Programme for the International Assessment of Adult Competencies)の国際報告書が平成25年10月8日に公表された。国立教育政策研究所は、日本に関係が深い部分をまとめて分析。日本は、中位層が多く低位層が少ない傾向にあることがわかった。
日本の成人は、読解力、数的思考力において平均得点で参加国中1位であり、かつ得点差が最も小さく低位レベル(レベル1未満)が少ないことが分かった。
ITを活用した問題解決能力については、コンピュータ調査を受けなかった者を含めた場合はOECD平均並み。コンピュータ調査を受けた者の平均点は参加国中第1位であった。
OECDに加盟する先進国では、 雇用を確保し経済成長を促すため、国民のスキルを高める必要があるとの認識が広まっている。そこで、OECDでは、各国の成人のスキルの状況を把握し、各国の政策に資する知見を得ることを目的として、初めて本調査を実施した。
■読解力
読解力に関して日本の平均得点は296点と、OECD平均273点を大きく上回った。2位はフィンランドの288点。
読解力において低位層(レベル1、レベル1未満)の割合が10%未満は日本のみであり、得点差が参加国中最も小さい。レベル5の割合は4位で、首位グループ。
■数的思考力
日本の平均点は288点でOECD平均296点を大きく上回り参加国中1位。レベル3・4の中位層の割合が参加国中最も多く、レベル1以下の割合は最も少ない。レベル5の割合は6番目で、首位グループ。
得点差が参加国中最も小さい。2位はフィンランドの282点。
■IT活用
コンピュータ調査を拒否し、紙調査を希望した場合や、コンピュータの導入試験で不合格となった場合は紙調査で実施し、ITを活用した問題解決能力の調査は行わない。
PIAACでは、コンピュータ調査を受けなかった者も母数に含めて分析。それによると、日本はOECD平均並みだが、コンピュータ調査を受けた者の平均点で分析すると参加国中1位であった。
中位層(レベル3)の割合が最も多く、低位層(レベル1未満)の割合が最も少ない。
ITを活用した問題例では、複数の電子メールを既存の複数のフォルダ―に目的に従って分類するなどの問題が出題されている。
■スキルのピークは全世界的に30歳前後
参加国全般において、いずれの能力も「30歳前後でピーク」を迎え、徐々に低下していく傾向にある。また、学歴が高いほどスキルが高いが、日本においては、いずれの学歴グループでもスキルが最も高い国の1つ。日本の中卒の者の読解力は、米国やドイツの高卒の者よりも高い。
職業の関係で見ると、スキルの高い順に管理職、事務職、技能工、単純作業という傾向。また日本では、日本の単純作業の従事者は、多くの国の事務職と同程度以上の読解力である。
本調査では、 「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」及び調査対象者の背景(年齢、性別、学歴、職歴など)について、OECD加盟国等24か国・地域(日、米、英、仏、独、韓、豪、加、フィンランド等 )16歳~65歳までの男女個人約15万7千人を対象に調査。日本においては、1万1千人の男女を無作為に選定、対象者の自宅等において専用のPCを使い対面方式で調査。5173人より回答を得た。
PIAACで調査する3つのスキル(日本版報告書より抜粋)読解力=社会に参加し、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させるために、書かれたテキストを理解し、評価し、利用し、これを読み取る能力。
数的思考力=成人の生活において、さまざまな状況の下での数学的な必要性に関わり、対処していくために数学的な情報や概念にアクセスし、利用し、解釈し、伝達する能力。
ITを活用した問題解決能力=情報を獲得・評価し、他者とコミュニケーションをし、実際的なタスクを遂行するために、デジタル技術、コミュニケーションツールおよびネットワークを活用する能力。
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投稿者 kksblog : 2013年10月08日 19:46