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記憶を整理する大脳シナプスの運動と抑制伝達物資の関与を研究 (2013年09月05日)

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東京大学の研究グループが、私たちの記憶を整理してくれる大脳シナプスの運動を発見し、それは抑制伝達物資であるGABAが関与しているという研究結果を発表しました。

私たちがものを覚える時、大脳では神経細胞のシナプスと呼ばれる部位で神経間の結合の強さ(シナプス結合)が変わっています。シナプスは、神経細胞の樹状突起のスパインという棘構造にできます。シナプス結合が増強するときにはこのスパインの頭部が大きくなる運動が起きます。この頭部増大は個々のスパインで起き、長期増強という記憶の基盤となる現象の元になる過程であることが認められています。

今回の研究では、グルタミン酸の2光子アンケイジングに加えて抑制性伝達物質GABAの青色レーザーによるアンケイジングを組み合わせてスパインを刺激したところ、強いスパインの収縮と除去が起こせることを見いだしました。スパインの収縮と除去は、結果としてそのスパインが構成するシナプスの選別や整理、シナプス結合の減弱につながります。GABAは活動電位の発生を抑制するのが主たる作用であると考えられてきましたが、GABA にはシナプスを選別する直接的作用があることがわかりました。つまり、適切なGABA入力がないと、高度な学習に必要なシナプスの選別、あるいは記憶の整理が起きないということになります。

従来の知見に加えて、大脳のシナプス結合の強弱には、シナプスにおけるスパインの運動が基盤となっており、興奮性と抑制性の伝達物質がこの運動を巧妙に調整していることが明らかになったことになります。

私たちは、眠りから覚めると記憶が整理されていることに気がつきますが、睡眠時にはGABAの刺激が強まり、シナプス除去が起きやすいそうです。従って、睡眠時にも同様の機構が関係している可能性があるようです。

GABAは脳内で合成される物質ですが、脳の発達、学習記憶、睡眠、自閉症や統合失調症などの精神疾患に深く関係しています。今後の研究で、記憶に関わる障害の薬開発などに大いに役立つかもしれませんね。


記憶を整理する大脳シナプスの運動を発見 | 東京大学



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投稿者 kksblog : 2013年09月05日 11:19


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