●私大の学内奨学金 東日本大震災・原発事故の影響で利用者・支給額共に増 (2013年04月18日)
大学の学費は個人負担である日本の教育制度では、大学、特に私立大学に進学することは家計において大きな負担となります。特色ある大学で学びたい、と考える学生・保護者にとって味方になってくれるのが奨学金です。その奨学金を給付する元は、日本学生支援機構などの団体がよく知られていますが、地方自治体、大学などでも奨学金制度を行っているところがあります。
日本私立大学連盟は「平成24年度奨学金等調査報告書」を公表しました。これは同連盟に加盟している大学を対象として調査を行った、奨学金等に関する平成23年度の実績調査について、その概要と調査結果を取りまとめたものです。
私立大学は各大学において、独自の特徴的な学内奨学金制度を構築していますが、報告書においてはこの全体像を示し、各大学での制度運用の助けになることを目的としています。特に平成24年度の調査では、学内奨学金等のうち分類B「家計急変や災害援助等のための奨学金等」の中で、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故への対応についても把握することとしています。
学内奨学金の支給は増加傾向にあり、中でも「家計急変・災害救助」の奨学金が過去調査結果と比較して急増しています。平成19年度と比較してみると、支給される人数は585人から14,434人に、一人当たりの金額は35万5千円から46万4千円となっています。このうち、東日本大震災を対象とした支給対象者は13,303人に上り、大学の奨学金についても東日本大震災の影響が大きいことが分かります。
また、経済的援助の事由以外での奨学金制度についても増加傾向にあり、支給人数は平成19年度と比べ、「特定試験・特定研修・学術褒章・教育奨励」が2.5倍、「入試成績優秀者」が1.8倍に増加しています。これは18歳以下の人口が減少していることや、震災以降留学生が減少したことなどから、私立大学の定員割れが相次いでいることに対して、危機感を抱く大学が、優秀な学生を獲得するためと考えられます。
奨学金は学びたい意思をあきらめさせないために、とても大切な制度です。しかしこのように支給金額が急増していることについて、果たして健全な運営を続けられるのか、といった不安も感じてしまいます。安心できる学びの環境を維持するためにも、災害復興は重要なのだとあらためて感じさせられますね。
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投稿者 kksblog : 2013年04月18日 09:52