●タバコを吸いたい欲求は、大脳前頭前野の2つの部位の連携で起こっていた (2013年02月09日)
理化学研究所では、タバコを吸いたいという欲求が大脳の前頭前野の2つの部位の連携によって生じていることを明らかにしました。喫煙欲求は前頭前野の眼窩前頭皮質の活動により形成されており、さらに前頭前野の背外側面が喫煙にかかわる状況に応じて喫煙欲求を促進しているのだそうです。
禁煙をしている人がタバコを連想させる視覚刺激によって「タバコを吸いたい」という喫煙欲求が誘導されます。このとき「眼窩前頭皮質」が活動していることが確認されますが、これは喫煙できる状況か否かに関わらず起こるものです。被験者を「タバコをすぐに吸える状態」と「タバコをすぐに吸えない状態」に分けたところ、「すぐに吸える」方ではその喫煙欲求が促進され「今すぐタバコを吸いたい」気持ちが強くなりました。このとき「背外側前頭前野」が活動を示していました。
ところが背外側前頭前野の活動を人工的に抑制すると眼窩前頭皮質の活動が低下する、つまり喫煙欲求が促進されなくなったのです。実際に被験者へ「タバコを吸いたい気持ち」を聞いたところ「タバコをすぐに吸えない状態」の被験者と同じくらい低い喫煙欲求度になりました。またこの欲求の低下は「すぐに吸える状態」側で顕著に現れました。
これにより「タバコを吸える状態」での喫煙欲求の促進は、脳の前頭前野2ヶ所を結ぶ神経ネットワークの連携に基づくものであることが分かりました。喫煙の依存性から、その他の薬物依存についてもこのネットワークの強化によって形成されるという可能性が示唆されます。今後この研究結果が、薬物依存症の治療ターゲットや依存症の評価法の開発につながることが期待されます。
意志の力だけでは脱却することが難しい、喫煙や薬物依存などについて、その欲求に関するメカニズムが明らかになったことで、そこから依存症からの脱却に役立つ治療法が確立するといいですね。
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投稿者 kksblog : 2013年02月09日 00:07