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虫が自分の都合で植物の性質を変える?アブラムシの虫こぶから明らかに (2012年11月27日)

mushikobu_121127.jpg植物にできる「虫こぶ」って知っていますか?虫や菌などから出される、何らかの刺激によって植物の一部の細胞が増殖、肥大などして、異常な形になったものです。虫が産卵してできるもの、虫こぶが住処であるものなど、形状や用途もさまざまあります。

産業技術総合研究所(産総研)の生物共生進化機構研究グループは、植物に作られた虫こぶは、その植物細胞の性質を変化させているということを明らかにしました。異なる種類のアブラムシが、同じ木に作ったそれぞれの虫こぶで、片方は水をはじき、片方は水を吸う性質を持っていることを発見したのです。

アブラムシは、植物の汁を吸って甘い排泄液(甘露)を出します。それをアリが好むためにアリと共生する、ということはよく知られていますね。またアブラムシには、虫こぶを作りその中で集団生活を営むものがいます。アブラムシの種類によって、その作る虫こぶの形・性質は異なり、大きく分けて、虫こぶから外への出入口があるもの(開放型)、密閉されているもの(完全閉鎖型)に分類されます。

虫こぶ内に生息するアブラムシはその植物の汁を吸い、甘露を出します。開放型では兵隊幼虫が開口部から甘露を捨てて処理しますが、完全閉鎖型ではそれができないため、甘露が溜まり続けるとアブラムシが自分たちの甘露で溺れてしまうのではと考えられます。そこで研究グループは、完全密閉型の虫こぶを作るモンゼンイスアブラムシの虫こぶを調査しました。

モンゼンイスアブラムシの虫こぶに、蒸留水・濃度の異なるショ糖水を注入する調査を行ったところ、蒸留水はほぼ完全に吸収し、糖濃度が上がるごとに吸収率は下がるものの、甘露は充分吸収される糖度でした。また吸収された液は、植物の水・養分の通り道である維管束に移動していることがわかり、甘露は植物を通じて排出されていることが明らかになりました。

さらに、おなじエゴノキに虫こぶを作るエゴノネコアシアブラムシ(完全閉鎖型)とササコナフキツノアブラムシ(開放型)の虫こぶを調べると、開放型の虫こぶには甘露が溜まっており、壁は水をはじいていました。一方完全閉鎖型の虫こぶには甘露が溜まっておらず、スポンジ状の壁でした。同じ木から作られたのに、それぞれの虫に都合のいいように性質が変わっていたのです。

小さな虫が、植物の組織の性質を変えてしまうなんて驚きですね。今の季節、冬ごもりのために虫こぶがたくさんできているでしょう。森に行って、虫こぶの観察をしてみるのも面白そうですね。

産総研:昆虫が植物の性質を改変し、究極の「巣ごもり」生活を実現



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投稿者 kksblog : 2012年11月27日 23:21


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