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生態系に多様な生物種間関係が存在することが自然のバランスを保つ鍵 (2012年07月25日)

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科学技術振興機構が、“生態系に多様な生物種間関係が存在することが、自然のバランスを保つ鍵である”ことを世界で初めて突き止め、発表しました。

生物種間の関係が「食う-食われる敵対的な関係」や「互いを助け合う相利的な関係」のいずれかに偏ると自然のバランスを保つのが難しいですが、両方の関係がある一定の比率で混ざり合うことで複雑な生態系における自然のバランスが保たれるそうです。このことは、「複雑な生態系ほど不安定」との理論予測を覆し、生物多様性を保全するための新しい方策・技術開発への応用に期待されます。

自然生態系では、多くの種類の生物種が互いに関わり合いながら共存していますが、そこでは特定の生物種が突然に大発生したり、生物種が次々に絶滅したりといった、個体数の大きな変動はあまり生じません。つまり、自然には生物個体数の大きな変動を抑制する何らかの自己調節の仕組み(自然のバランス)が働いていると考えられます。しかし、この「自然のバランス」を保っている仕組みの正体はよくわかっていませんでした。

研究では見逃されてきた「生物種間関係の多様性」の役割に着目。敵対関係や協力関係などのさまざまな人間関係のように、自然の生態系でも、多様な生物種が存在するだけではなく、それらの生物種の間に多様な関係が成り立っています。植物とその花粉を運ぶ昆虫の間に成立するような「互いに助け合う関係(相利関係)」もあれば、鳥の仲間が昆虫を食うといった「一方が他方から搾取する敵対的な関係(食う-食われる関係)」もあり、このような種間関係の多様性こそが「自然のバランス」を保つ鍵であると考えられます。

種間関係の多様性が自然のバランスにもたらす影響を評価したところ、敵対関係と相利関係の「ブレンド比率」が、自然のバランスに大きな影響をもたらすことが判明。「ブレンド比率」が一方に偏っていると、生態系における個体数変動の安定性は低くなり、両者がほどよい割合で「ブレンド」されていると、そこに生育する生物の個体数変動は小さく押さえられ、生態系の安定性が高まる結果でした。種間関係が多様であれば自然のバランスは高くなり、さらにこの安定化効果はより複雑な生態系で強く発揮されることがわかったのです。

このような結果から、生物多様性の保全のためには、どのような種がどのような関係を築いているのか、あるいはその関係が地域によってどのように異なっているか、そしてどのように生じるのかを明らかにするなどして「種間の関係性」を維持するための方策について考える必要があることがわかります。自然のバランスを自然にではなく、人間によって維持させることができるのか、これから、実行していかなくてはならないですね。


科学技術振興機構:さまざまな生物種間に「敵対」・「協力」関係が存在することで自然のバランスが保たれることを発見



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投稿者 kksblog : 2012年07月25日 13:25


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