●「空気を読む」脳の行動は、シミュレーションと行動観察の合わせ技だった (2012年06月28日)
「相手の気持ちになって考えなさい」、子どもの頃、誰もが親や先生など、身近な大人から一度は言われたことのある言葉ではないでしょうか。コミュニケーションが生きる術とも言えるヒトにとって、相手の気持ちになる=他人の心を予測することは、肉食動物が狩りの技術を磨くくらい大切なことではないでしょうか。
理化学研究所脳科学総合研究センターの研究チームが、人の脳が「相手の気持ちを考える」ために「他人のココロのシミュレーションによる学習」と「他人の行動観察による学習」を統合していることを、世界で初めて科学的に解明しました。この2つの脳の行動は、「相手の気持ちを考える」ときに、脳はどちらの学習を行っているのか、いずれも有力な説でしたが、実は双方を統合したものが最も適切であることが突き止められたのです。
「相手の気持ちを考える」、すなわち自分と関わりのある人に対し、私たちはその人の心や行動を予測します。しかし私たちは「他人の心」を直接見ることはできないのに、どうして予測することができるのでしょう。これについて「自分の心のプロセスを基にして、他人の心のプロセスをあたかも自分のプロセスとして実現する」〝シミュレーション説〟と、「シミュレーションは不必要で、他人が何にどう反応するかのパターンを学習して、他人の目に見える行動を当てている」〝行動パターン説〟がそれぞれ有力視されていました。
今回の研究では、2つの説の脳計算モデルを構築し、その脳計算モデルが適切であれば、挙動に対する充分な脳活動を示すはずとして、fMRIを利用して脳活動を計測しました。そしてデータ解析によって、個々の脳計算モデルよりも、両方の計算モデルを統合した脳計算モデルの挙動が、行動データと最も対応することが発見されました。
この成果は、将来、対人関係障害などの精神疾患の究明や、多様な価値観を学び対処する社会性を持つコンピューターやロボットの開発への貢献が期待されます。
« エプソン販売が書画カメラの新製品 | トップページへ 関西大学の施設を使用して理科の実験を体験『サイエンスセミナー』 »
最新記事一覧
- 「土曜授業推進事業」に関する調査研究の公募~文部科学省(2014年09月01日)
- チエル・NEC、レノボら7社が共同で普通教室における児童・生徒に1人1台のICT環境を活用した授業の実証研究を開始
- 中学校の理科にもっと観察・実験を!観察・実験の指導資料集を作成|千葉県(2014年08月30日)
- 中学校の理科にもっと観察・実験を!観察・実験の指導資料集を作成|千葉県
- Web会議サービスをはじめ、「V-CUBE」のアップデートを実施(2014年08月29日)
- 1990年からの活動を振り返る「アジアの子どもたちの絵日記展」9月9日より東京・丸の内
- 「EduTown(エデュタウン)」がオープン~東京書籍株式会社
- 英語力の評価及び入試における外部試験活用に関する審議のまとめ(2014年08月28日)
- 自分を見つめなおす「エンディングプラン」-授業での活用も視野に
- 先進的な取組を実施する大学を支援「大学教育再生加速プログラム」(2014年08月27日)
- デジタス仙台、プロ仕様の無線トランシーバーや「即」伝達のIP無線を販売
- ニッケ商事、被災者の声を反映した「災害備蓄マット」を発売
- ライト・サービス、4つ折りコンパクトストレッチャー「LS-1F2」を発売
- 正しいルールで、安全第一「平成26年秋の全国交通安全運動」(2014年08月21日)
- スウェーデンの人気陶芸家が初の大規模展示「北欧の豊かな時間 リサ・ラーソン展」9月11日より東京で開催
投稿者 kksblog : 2012年06月28日 16:20