●「震災報道」における報道関係者の意識などを調査~京都大学 (2012年06月04日)
京都大学こころの未来研究センターが、報道関係者を対象に「震災報道」についてのアンケート調査を実施しました。
調査は、「東日本大震災とこころの未来」プロジェクトの一環として、東日本大震災後1年というタイミングで実施。調査項目は、原発報道の取材経験に関する設問、その他一般の震災関連報道の取材経験に関する設問、災害報道等一般的質問です。
調査結果によると、原発事故報道では、客観性、中立性を意識しながらも、それらの情報をすべては検証できないままに発信しなければならない困難さが経験されていたようです。一方、被災地報道では、読者や視聴者の感情に訴えかけるもの、あるいは被災者の立場に立ち、思いを知り、それを率直に伝えることがより意識されていたようです。
「報道内容がポジティブ・ネガティブどちらかにも偏らないようにしようとしていた」、「専門家や一般人の意見は一定の方向には偏らないようにしようとしていた」という項目に対しては、肯定的回答と答えた回答者が、一般災害報道では50%台であるのに対して、原発事故報道では65%~75%にのぼりました。偏らない報道姿勢は回答者の過半数が意識していましたが、特に原発事故報道ではその意識が高かったといえます。
一方で「悲惨さを訴えようとした」については、肯定的回答が、原発事故報道が65%であるのに対して、一般災害報道が80%と多くみられました。報道が被災地・被災者への共感をもたらすことを意識していたと考えられます。
「政府や東電などの責任ある立場に対しては批判的視点から報道しようとした」では、原発事故報道の場合、75%を超える回答者が肯定的回答。また、「できあがった報道が事実に忠実であったか」は、原発事故以外の一般震災報道では8割近くが「非常に」あるいは「かなり忠実」と回答していたのに対し、原発事故報道では、5割に留まり、逆に「事実を描ききれないところがあった」という回答が35%に達しました。
取材中最も強く持たれた感情は「悲しみ」であり、次いで「憤り」、「苦しみ」、「怒り」。他にも反省ややるせなさ、無力感を感じたようです。事実に向きあい、被災者の立場に立ち、しっかり伝える、バランスを保つ報道を心がけながらも、事態に最前線で食面した報道関係者の苦悩がうかがえる結果といえます。
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投稿者 kksblog : 2012年06月04日 17:07