●日本社会での薄れゆく格差感と格差の実態~東京大学社会科学研究所 (2012年02月28日)
東京大学社会科学研究所の研究グループが、日本の社会における人々の格差感と格差の実態について分析を行ないました。
発表された知見によると、実態として所得格差は存在していますが、所得格差感は2007年から2011年にかけて弱まっているそうです。
調査は同一人に繰り返し尋ね続ける「パネル調査」という手法を用いています。同一個人を追跡することにより、個人の行動や意識の変化を跡付けることができます。
この4年間で、「日本の所得の格差は大きすぎる」と答えた人の比率は74.8%から60.5%に大きく減少。2007年と2011年の回答を比較すると、所得格差感が低下した人は40.8%、上昇した人は17.5%、変化なしは40.8%。対象者の4割が格差感が薄れており、格差感が強まった人の比率よりもはるかに多いことがわかりました。
所得格差感の変化には世代別・性別で大きな違いはありませんが、世代別には若年層で、性別には男性で、格差感が上昇した人、低下した人の比率が共にやや高く、二極化傾向が進んでいる可能性があるそうです。
格差縮小の手段である社会保障制度のあり方に社会的関心が寄せられていますが、正規雇用と非正規雇用の間では雇用保険と厚生年金の加入状況が異なり、いずれも非正規雇用の方が低い加入率であることがわかりました。また、初職の雇用形態は、その後の結婚行動にも影響を及ぼすようです。初職が非正規雇用であると晩婚になる傾向があります。
格差問題に対する関心は弱まりつつあるようですが、格差解消には依然として至っていません。このような研究を参考に社会保障制度等が見なおされ、格差縮小につながり、ライフスタイルが改善されるといいですね。
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投稿者 kksblog : 2012年02月28日 17:27