●ヒトは他者の顔色をモニタしながら他者の行為を理解~京大、新たな研究成果 (2012年02月27日)
京都大学の明和政子教育学研究科准教授、平田聡霊長類研究所特定准教授らの研究グループにより、ヒトは他者の顔色をモニタしながら他者の行為を理解するという特徴が初めて明らかにされました。
ヒトが他者の行為からさまざまなことを観察学習する際、単なる物理的な体の動きの連続体として捉えるのではなく、意図など、他者の心的な状態をトップダウン的に読み取る性質があります。
しかし、心的なフレームワークで他者の行為を理解する性質が、ヒトではどのように発達するのか、またこうした性質がヒト以外の動物とどの程度共有されているかについては未解明のままでした。
同研究グループは、生後8ヶ月、12ヶ月のヒト乳児と、ヒト成人、ヒトにもっとも近縁な動物種であるチンパンジーを対象に、アイ・トラッカーという計測技術を用いて視線計測をおこない、それぞれの他者の行為を見るスタイルの比較をおこないました。
チンパンジーは、ヒトの成人と同じく、他者がある目的に到達する以前にその目的を予測し、視線を向けることがわかりました。他者の目的がコップにジュースを注ぐことであることを理解し、その動作を事前に予測したためと解釈できます。ヒトの乳児では、ヒトの成人やチンパンジーに匹敵するような予測的視線はみられませんでした。
この理由として、脳神経科学の研究から、他者の行為の理解は、観察者自身がその行為を産出できることが前提となること(ミラーニューロンシステム)が示唆されています。つまり、他者の行為を理解するためには、まず自分でその行為ができることが前提になると考えられます。
しかし、ヒトとチンパンジーとの間で、他者の行為理解のスタイルが明確に異なっている点も見出されました。ヒト、とくにヒトの乳児は、他者の行為を観察する間、チンパンジーに比べて、長時間、他者の顔に視線を向けることがわかりました。
ヒトは、操作されている物と、操作する他者の情報を統合させて、行為の目的を予測し、理解するスタイルをとるのに対し、チンパンジーはおもに物の情報、たとえば物と物との因果関係に注目して、行為を予測、理解することが明らかとなっています。
同研究が明らかにしたヒトの学びのスタイルは、ヒトとチンパンジーが進化の道を別った後に、ヒトにおいて独自に獲得したものである可能性が示唆されます。これは、ヒトが複雑な社会的環境の中で生存するうえで、適応的な学びのスタイルであったと考えられています。
他人との関わりは避けて通れません。子どもたち自身も他者とのコミュニケーションを嫌がるのではなく、楽しめるような環境に置いてあげたいものですね。
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投稿者 kksblog : 2012年02月27日 20:19