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微生物(C1酵母)の新たな成果により、メタン削減に期待~京大研究グループ (2011年10月05日)

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京都大学の研究グループにより、「微生物(C1酵母)は植物葉上に浸み出したアルコールを夜に飲む」といった概要の成果が科学誌「PLoS One」の電子版に掲載されました。

今回の成果は、阪井康能氏(農学研究科/学際融合教育推進センター)、生理化学研究ユニット教授(由里本博也氏 農学研究科准教授)、川口甲介氏(同教務補佐員)らのグループが発表しました。

従来、植物から放出されるメタノール量は、空気中のメタノール濃度により測定されていましたが、植物表面のメタノール濃度はわかりませんでした。

今回、メタノール濃度に応答して蛍光を発する「メタノール細胞センサー」を新たに開発して、植物表面のメタノール濃度を直接計測したところ、若い葉の上ではメタノール量が日周性をもって変動しており、夜に高く、昼間はほとんどないことがわかりました。

メタノール量が日周変動する植物葉上では、メタノールを食べるC1酵母が、2週間で3~4回ぐらいの分裂をすることにより、非常にゆっくりと増えることが明らかになりました。植物の表面で、メタノールを食べるために必要な遺伝子と細胞内小器官(ペルオキシソーム)の動きを調べてみると、こちらもメタノール濃度にあわせて、昼夜で増減していました。

また、メタノールを食べるための遺伝子やペルオキシソームを増やしたり減らしたりするための遺伝子が、C1酵母が植物上で増えるためには必要でした。人と同じように、C1酵母は、夜にメタノールを飲んで生活していることが解明されたのです。

老化した葉や枯葉の上では、メタノール濃度がかなり高く、C1酵母は、ペルオキシソームを細胞内容積の80%ぐらいになるまで発達させて、その中に栄養分の一つであるタンパク質を大量にため込んでいました。植物葉上には他の栄養分が少ないので、枯れた後、葉ごと一緒に土におちて、次に栄養分を手にする機会をうかがっていると考えられています。

C1酵母がメタノールを食べるという性質は、これまでワクチンや医薬品など有用タンパク質を製造するために利用されており、今回の研究は、培養のいらない植物上でのタンパク質直接生産がC1酵母により可能なことを示しています。

また、C1酵母の自然界での生き様、すなわち植物上でのメタノール濃度の日周変動やC1酵母が植物上でもメタノールを食べている事実は、今後、温室効果ガスの一つであるメタンを削減するために必要な基本情報であり、今後は、環境問題を解決できるような技術開発を行っていきたいとのことです。

将来的にも有望な研究が今回発表されました。環境問題の解決にも大きな前進がありそうですし、今後の動きに注目したいところです。

微生物は植物葉上に浸み出したアルコールを夜に飲む:京都大学



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投稿者 kksblog : 2011年10月05日 13:40


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