●生命のルーツを知る手掛かりに?!125億光年彼方の銀河に炭素を発見 (2011年10月15日)
京都大学および愛媛大学の研究者を中心とする研究チームが、すばる望遠鏡による観測によって、125億光年彼方の銀河に炭素が存在していることを発見しました。
元素が宇宙の歴史の中で、いつ、どのように生成されてきたのかという問題は未だに解き明かされていません。したがって、今回の結果は宇宙の化学進化を理解する上で非常に重要な成果であるとともに、生命の基本構成元素である炭素がいつ生成されたのか、すなわち生命の究極的なルーツを知る手掛かりになるかもしれないそうです。
宇宙は今からおよそ137億年前、ビッグバンという大爆発によって誕生したと考えられています。誕生直後の宇宙には、水素とヘリウムしか存在しておらず、現在私たちのまわりに存在する酸素や炭素、鉄、マグネシウムといった多種多様な元素はいったいどのように生成されたのかを知る手掛かりは夜空に輝く星にあります。
今回、研究チームは巨大ブラックホールの重力エネルギーにより電波や可視光で極めて明るく輝く「電波銀河」と呼ばれる天体に着目。これまでは今から115億年前までの宇宙しか調べられていませんでしたが、現在の宇宙に見られるような元素が115億年前には既に生成されていたことがわかっているので、少なくとも宇宙誕生後20億年以前の電波銀河を調べなければ元素が生成されている現場を見ることができません。そこで、現在最も遠くで見つかっている電波銀河TN J0924-2201に着目して、その元素量を測定するためにすばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置FOCASを用いた可視分光観測を行いました。
結果、元素量診断に必要な炭素輝線の検出に世界で初めて成功。125億光年彼方の電波銀河からの水素、ヘリウム以外からの輝線の検出は今回が初めてであり、この輝線から宇宙誕生後10億年頃の電波銀河における元素の詳細な研究が可能となりました。さらに今回の観測とシミュレーションの結果を比較することで、当時の電波銀河の炭素存在量を推定すると、銀河進化の中でゆっくりと増加してきたと考えられている炭素元素でさえ、その大部分が宇宙誕生後10億年頃に既に生成されていたことがわかりました。これは現在電波銀河に見られるような元素のほとんど全てが宇宙の誕生後10億年以内という極めて短い期間に爆発的に生成されたことを示唆しています。
10億年とは果てしない数字のようですが、宇宙規模では驚くべき短さ。人類のルーツにも繋がる元素生成の歴史がわかってきたことはすごいことですね。
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投稿者 kksblog : 2011年10月15日 06:32