●「エレーニン彗星が地球に衝突する?」という噂にNASAが真面目に回答 (2011年09月05日)
エレーニン彗星という彗星が、現在地球に接近しつつあります。この彗星は、2010年12月にロシアのLeonid Elenin氏が発見した新彗星で、2011年10月16日に地球から約3500万kmまで最接近します。これに関して「ホワイトハウスはエレーニン彗星が地球に衝突する危険性があると発表した」「東日本大震災はエレーニン彗星接近の影響で起きた」などという噂が立っています。
小惑星や彗星といった小天体の地球接近には、こういったパニックを煽るような話題がつきまとうものですが、これについてアメリカ航空宇宙局(NASA)は8月16日、エレーニン彗星は地球に危険を及ぼすものではないと発表しました。この発表は質疑応答の形で掲載されています。
エレーニン彗星が地球に最も接近するときの距離は約3500万km、地球と月の平均距離が38万kmですから、通過するのははるか遠くです。またエレーニン彗星の直径は約3〜5kmと小さい上に、氷がゆるく固まった密度の低い物体であることから、3500万kmの距離から地球に影響を及ぼすことはないでしょう。
NASAがエレーニン彗星について情報をあまり出していないことから、「衝突の可能性があるのにNASAは情報を隠蔽している」という噂も流れています。これについては、最接近したときに暗い空で双眼鏡を使って見えるかもしれない、というくらいで、派手な天体ショーにはならないことから話題にしなかったということです。1997年にヘール・ボップ彗星が接近したときには、数十年に一度という明るさということで話題になりました。
また「エレーニン彗星は褐色矮星である」という説も流れていますが、そもそも褐色矮星とは木星よりも大きく、恒星になれなかった天体のことで、その成り立ちや大きさも全く違います。褐色矮星は赤外線や周辺の天体への影響から観測できるもので、現在太陽系内には褐色矮星は存在しないことが分かっています。
今回のエレーニン彗星に関するさまざまな憶測は、実際に地球に接近している彗星が元になっていることと、全く違う事柄に関する公式発表を関連づけてウェブ上に流した人がいるために、信憑性を帯びて語られたようです。震災のときにもさまざまなデマが流れて多くの人が惑わされましたが、こういった話に惑わされないために、確かな知識を身につけて、自分で考える能力を身につけておきたいですね。
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投稿者 kksblog : 2011年09月05日 10:06