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土星の衛星・タイタンの窒素大気は、隕石衝突によって作られた!? (2011年05月19日)

titan_110519.jpgタイタンは土星の衛星の中で最大のもので、太陽系内の衛星の中でも木星の衛星ガニメデに次ぐ大きさです。タイタンは濃い大気と雲で覆われており、その主成分は窒素、他にメタンが含まれていることがこれまでの探査で分かっています。タイタンは表層環境が地球に似ており、地表には液体メタンの湖や河が存在し、蒸発や降雨で循環しています。表層に液体が存在し、循環する天体は太陽系内に地球とタイタンしかないのです。

これまで、タイタンの表層環境がいつどのように形成されたのかについては謎でしたが、タイタンの窒素大気が今から約40億年前に起きた巨大隕石の重爆撃イベントという、太陽系全体を巻き込んだ天変地異によって形成されたことが明らかになりました。これは東京大学の関根康人助教授らにより、イギリスの科学誌Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)に発表されました。

タイタンの表層にメタンが液体で存在しているのは、窒素の大気で包まれて温度が保たれているからです。この大気層がどのように形成されたかについて、これまで、タイタンの材料物質に窒素が含まれていたという「材料物質説」、タイタン系政司に発生する熱や化学反応で、原始太陽系に豊富にあったアンモニアから窒素大気が形成されたという「形成時誕生説」が提唱されていました。しかしどちらも、1997年に打ち上げられた土星探査機カッシーニの探査結果によって否定されています。

新たに提唱された「重爆撃期形成説」は、約40億年前に太陽系で多くの巨大隕石衝突が頻繁に起きていた「後期隕石重爆撃期」と呼ばれており、月のクレーターの大部分もこの時期にできたと考えられています。巨大隕石が衝突したタイタンでは衝突地点付近が広範囲で2000℃を越える高温になり、タイタンに含まれていたアンモニア氷が熱分解し、窒素を生じたのではと考えました。室内実験と数値シミュレーションによってこれは実証され、従来の説のジレンマを解消したのです。

この研究は、他の惑星や衛星が大気を獲得するメカニズムを解明するのに役立つ他、太陽系外の地球型惑星の大気や表層環境の推定にも繋がることが期待できます。一つ一つ明らかになってゆく宇宙の謎に、見上げる星空が少し身近に感じられそうですね。

冷たい第2の地球、土星衛星タイタンの窒素大気の起源を解明:東京大学



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投稿者 kksblog : 2011年05月19日 11:39


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