●災害時、避難所となった学校では何が必要か 国立教育政策研究所の研究より (2011年03月24日)
3月11日に発生した、東北地方太平洋沖地震によって、東北地方の太平洋側の地域は甚大な被害を受け、多くの人が避難所生活を余儀なくされています。災害時には、学校施設が避難所として使われることが多くありますが、国立教育政策研究所の文教施設センターでは、平成18〜19年度に「避難所となる学校施設の防災機能に関する調査研究」を実施し、平成19年に報告書を公表しました。
この研究調査は、平成19年の新潟県中越沖地震における柏崎市、同年の能登半島地震における輪島市の2例について、避難所となった学校が災害発生から避難所閉鎖までどのように運営されたかに関する現地調査に基づくものです。この度の東北地方太平洋沖地震において、避難所の運営に役立つとして同センターのウェブサイトで再掲載されています。
平成19年3月25日に発生した能登半島地震において、輪島市では門前西小学校が避難所となりました。ここには最大270人が避難し、主に屋内運動場が避難住民の居住スペースとして使用されました。その後4月5日には学校に残っていた避難住民も市が借り上げたホテルに移動し、学校の避難所は閉鎖されました。入学式が4月5日から9日に延期されましたが、学校教育への影響は最小限にとどまったようです。
地震発生から5日間は断水がありましたが、この期間は給水車や救援物資のペットボトルで対応しました。ほとんどの人が着の身着のままで避難してきており、ラジオなどの情報入手の手段が乏しく、配布される新聞が主な情報源になりました。リアルタイムの情報を得るためにテレビ設置の要望が出ましたが、避難所となった体育館には受動器や配線の準備が無く、テレビ設置には時間がかかったようです。担当職員より、避難場所となる施設にはテレビ配線設備の必要性を感じたという意見が挙げられています。
避難場所では寒さ対策、健康管理が大きな問題となってきます。輪島市の例でも寒さは深刻だったようで、発泡スチロールを床に敷く、床暖房のようにチューブを這わせて温水を流すなどの対策がとられています。避難所で感染性胃腸炎が発生しており、この時には発症者を2階教室へ移動させるなどの措置がとられました。
この他、プライバシーの問題、運営体制やボランティア受け入れなどについて詳しく書かれています。今現在避難所となっている場所の運営の参考になることはもちろん、今後災害が生じたときのために、学校などの施設では常備しておいてはどうでしょう。
避難所となった学校が、災害発生から避難所閉鎖までどのように運営されたかを記録した調査研究報告書を掲載:国立教育政策研究所
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投稿者 kksblog : 2011年03月24日 10:00