●「恐竜は鳥類のご先祖様」であることをニワトリの翼から証明 東北大学 (2011年02月21日)
首の長いキリンでも、小さなネズミでも、ほとんどの哺乳類で首の骨は7本です。このように、身体の大きさや形が違っていても、骨格の基本的な部分は同じであったり、似通っていたりすることがあります。東北大学生命科学研究科の田村宏治教授らは、恐竜の前足の指と鳥類の翼の指は同じものであるという研究成果を発表しました。
鳥類は恐竜の一部から進化したことは、さまざまな証拠から広く支持されていますが、恐竜の前足の3本の指は第1-2-3指であるのに、鳥類は第2-3-4指である、という矛盾が指摘されてきました。この問題は始祖鳥発見以来150年におよんで解決されていなかったものですが、この度発生学的解析から鳥類の翼の3本の指が第1-2-3指として形成されていることが示され、長らくの問題が解決に至ったのです。
ティラノサウルスに代表されるような、細長い身体で二足歩行をする獣脚類と呼ばれる恐竜は、その多くが前肢に3本の指を持ちます。古くは5本であった物が、進化の過程で後ろ側の2本、第4指と第5指が失われて3本になったことが化石から示されています。しかし現存する鳥類の翼は恐竜の前肢同様3本指ですが、その特徴は第2-3-4指であるとされてきたのです。鳥類の祖先とされている始祖鳥の翼の骨は恐竜のそれと似ており、恐竜から始祖鳥、鳥類という進化の流れを考えるにあたって、指の位置が大きな矛盾でした。
このような問題が生じていた原因について、翼が作られる時期に、指の元「原基」がある位置が、発生初期と指の番号(第1指から第5指)を指定する時期とではずれていることが解明されたのです。細胞のかたまりから指を作り始める頃には、第4指の場所にあった指原基が前方にずれ、指ひとつ分〝ずれた〟状態で指の番号が指定されるため、結果的に第1-2-3指として形成されているということが明らかになりました。
この研究成果は発生学の教科書のいちページを書き換えることになる大きな発見であり、150年にも及ぶ論争に終止符をうつ決定打となりました。鳥類の起源が恐竜であることを、矛盾なく証明することができるようになったのです。新しい生命の誕生は生物の進化をたどるという話がありますが、古生代の動物の進化の過程が現存する動物によって解明されるというのは、それを裏付けているようで面白いですね。
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投稿者 kksblog : 2011年02月21日 11:08