●国立天文台の研究チーム 2つのブラックホールが衝突間近であることを発表 (2010年12月09日)
国立天文台ALMA推進室の井口聖准教授が率いる研究チームは、衝突直前の2つのブラックホールを初めて観測することに成功しました。この発見は、地球から2.8億光年先にある電波銀河(特に強い電波を発する銀河)3C66Bにおけるもので、2003年にこの銀河の中心核に2つのブラックホールが存在することを世界で初めて発見することに成功しています。
3C66Bは超巨大電波銀河であり、また楕円銀河としても有名です。宇宙が誕生してから、私たちが見ている銀河へ進化するまでには、銀河と銀河の衝突が幾度も繰り返し行われ、その最終段階に巨大楕円銀河か誕生すると考えられています。そのため研究チームは、3C66Bの中心にある2つのブラックホールは、衝突間近ではないかと予測していました。
そこで研究チームは、野辺山ミリ波干渉計とフランス・ドイツが共同で運用するIRAM観測所PdBI干渉計を使い、3年にもおよぶ期間をかけて詳細なモニター観測を実施しました。その観測結果から2つのブラックホールの質量とその間隔の距離を導き、それによると質量が重い方のブラックホールはなんと太陽質量の約10億倍あり、2つのブラックホールの質量の間隔は0.02光年(太陽と地球間の距離の約1200倍)であることがわかりました。
この2つのブラックホールはあと500年程度で衝突すると見られています。しかしこの年数の誤差は250年〜6500年とまだまだ大きなもので、また、2つのブラックホールがどのように関係をしており、その後どのように衝突していくのかの詳細についても完全に解明されてはいません。そこで今後研究チームは、現在チリのアタカマ高地に建設中のアルマ望遠鏡を使って、より高精度なモニター観測を実施することを目指します。
アルマ望遠鏡は従来の望遠鏡に比べ解像度が10倍程度、感度が100倍程度も向上する上に、観測精度も10倍以上改善するという非常に高性能な望遠鏡です。これを使って今回と同様の観測を行うことで、精密に2つのブラックホールの衝突の仕方を解き明かし、衝突までの時間も精度良く見積もることができます。
衝突間近、と言ってもおよそ500年後、私たち人間の時間から見れば遙か未来の話です。天文学の見つめる宇宙はあまりに膨大で、時間の感覚も気が遠くなりそうなロングスパンです。研究内容はなかなか難しい内容ですが、宇宙の時間の流れを感じるために、子どもたちにも紹介してみてはどうでしょう。
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投稿者 kksblog : 2010年12月09日 20:52