●梅は、遺伝的に近い品種では香りも似る 花王と果樹試験場などの共同研究 (2010年11月30日)
梅といえば、まず思い出すのは梅干しでしょう。梅酒や梅ジュース、ガム、梅の花など、いろいろと連想されますが、生の梅の果実をすぐに思い浮かべるは、どれくらいいるでしょう。加工される前の完熟した梅の果実は、とてもよい香りを発することが産地では知られているそうです。
花王株式会社の香料開発研究所は、和歌山県工業技術センター、和歌山県農林水産総合技術センター果樹試験場うめ研究所と共同で、梅の果実の香りなどの品質や生産性を向上させる品種改良や遺伝系統に関する研究を行っています。この度、梅の品種による果実の香気成分の分析と、その香りと遺伝系統の関係について確認しました。
日本各地の代表的な梅の9品種を和歌山県うめ研究所内で栽培し、樹上で完熟させた果実の香りを調べたところ、香りの特徴により品種は4つのグループに分類されました。また同じグループの品種は、遺伝的に「近い」ものであり、香りと遺伝系統の関係が示唆されました。
香りの調査は、4名の専門パネラーによる官能評価と、揮発性成分に含まれる香り成分の分析によって行われました。分析結果から、「南高」「橙高」「地蔵梅」が「アップル的なピーチ様」、「鶯宿」「白加賀」「露茜」は「フレッシュなリーフィーグリーン様」、「白王」は「軽いリキュール様」、「剣先」「翠香」は「マンゴー様のトロピカルフルーツ」というように分類されています。
遺伝系統では、「橙高」は「南高」と「地蔵梅」の交配種であり、また「鶯宿」「白加賀」も近親種であることから、梅果実の香りは遺伝的な影響を受けていることが考えられます。このことは香気成分組成、遺伝系統それぞれのクラスター分析からも推測される結果となりました。
私たちの生活には、不快な匂いを消したり、食品をよりおいしく感じさせたり、気持ちを和らげたりといった目的で「香り」がよく使われています。この研究で行われているように、身の回りの「香り」「匂い」について、似ている匂いの分類をしたり、他のものや文章で表現してみたりしたら面白そうですね。
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投稿者 kksblog : 2010年11月30日 17:25