●すばる望遠鏡、かみのけ座銀河団の観測で、銀河の性質などが明らかに (2010年11月24日)
国立天文台、東京大学、広島大学などの研究者からなるチームが、かみのけ座銀河団に広がった電離水素ガス雲を多数発見しました。この発見は、銀河団における銀河の進化の現場をとらえた重要な研究成果となるそうです。
使用した望遠鏡は、ハワイのマウナケア山の頂上にある「すばる望遠鏡」。初めて、ひとつの銀河団から多くの電離水素ガス雲を伴った銀河を見つけ、銀河の性質や空間分布、速度分布を明らかにしました。
宇宙には何百何千もの銀河が近くに集まっている「銀河団」とよばれる構造があります。その中でかみのけ座銀河団は、地球からおよそ3億光年の距離にあり、もっとも近くにある銀河団のひとつです。過去の観測で、この銀河団の中の銀河には、電離水素ガス雲を伴ったものがあることが発見されていますが、今回の研究で、銀河の外にまで広がった電離水素ガス雲を持つ銀河が 14 個も存在していることを明らかにしました。
これらの銀河は銀河団の周辺にいた銀河が銀河団の巨大な重力によって引きずり込まれ、銀河からガスが引き剥がされたものとみられています。そして、もともとガスの少なかった軽い銀河は全てのガスを失って星形成が止まってしまったと考えられます。
銀河団で星生成が止まっている銀河が多いのかということは、観測的には十分に解明されていなくて、宇宙の進化を理解する上で重要課題のひとつ。今回の研究では、銀河団の中でどれだけの割合の銀河が星生成を止めつつあるのかを見積もることができました。しかし、銀河団の中では一体何が起きているのかについては、未だ明らかになっていません。今後の研究で、銀河がどのように進化しているのかを解明することを計画中。何億光年も離れた距離にあるものが解明されていくことに驚きですね。
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投稿者 kksblog : 2010年11月24日 18:13