●外国語に母音を挿入して聞く「日本語耳」は生後14カ月から獲得~理化学研究所 (2010年10月25日)
人間は、母音や子音の組合せ、強勢、韻律などから、言葉を聞き分けています。しかし、日本語に慣れ切ってしまうと、外国語を聞いたり、声に出したりするときに、外国語の規則を、親しんだ母語の規則に「修復」してしまいます。
日本語には子音が連続する音節がないため、日本人は外国語を聞くとき、外国語の単語に架空の母音を挿入してしまう独特な「日本語耳」を持つようになります。これが外国語の音の聞き分けが苦手、といわれている大きな理由と考えられています。
乳幼児は、生後間もないころは、母語にない外国語の音も聞き分けられますが、生後12カ月ごろになると聞き分けられないことが、わかっています。しかし、音の並びの規則がどのように獲得されていくのかについては、よくわかっていませんでした。
そこで、脳科学総合研究センター言語発達研究チームらは、生後約8カ月と生後約14カ月の日本人とフランスの乳幼児各24人に、「abna」、「ebzo」などの連続した子音が含まれる単語と「abuna」、「abuzo」のように母音を挿入した単語を聞かせ、乳幼児が弁別して聞いているかどうか?を,調べました。
その結果、生後8カ月までは、どちらの乳幼児も弁別することができていたのに、日本人は生後14カ月までに子音の連続が含まれる単語と子音の連続が、含まれない単語の音を区別して聞きとれなくなっていました。
そんなことから、これまで、修復はたくさんの語彙を獲得したり、文字を学んだりした結果起こるものだと考えられていましたが、文字も知らない乳幼児期からすでに始まり、音の並びや規則を獲得しているという重要なことを発見したというわけです。
人間の脳については、どんどん研究が行われており、興味深く感じられる内容ですね。
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投稿者 kksblog : 2010年10月25日 12:13