●恐竜絶滅についての大論争 世界12カ国、41人の科学者が協力して決着 (2010年03月15日)
約6550万年前、白亜紀の終わりに恐竜を初めとする生物の大量絶滅が起きました。その原因について、1980年にノーベル物理学者のルイス・アルバレズ博士らにより地球外天体衝突説が提唱され、1991年にメキシコ・ユカタン半島に直径180kmの白亜期末の衝突クレーター(チチュルブ・クレーター)が発見されたことにより、科学界で広く支持されるようになりました。しかし他の説の提案やチチュルブ衝突は生物大量絶滅と無関係だと主張するグループもあり、世界的な論争となっていました。
現在この問題に対し、ドイツのエアランゲン大学のピーター・シュルツ博士をリーダーとして、分野を超えた世界12カ国、総勢41人もの研究者でチームを結成して研究を進めています。これにより地球外天体衝突説についてのさまざまな証拠が示唆され、長年にわたる科学論争に決着がつけられることとなりました。
チチュルブ衝突と生物大量絶滅との関係を明らかにするための研究チームには、地質学、古生物学、地球物理学、惑星科学など多岐にわたる分野の科学者が携わっています。日本からは、東北大学大学院工学研究科付属災害制御研究センターの後藤和久助教授、千葉工業大学惑星探査センターの松居孝典所長が参加しています。
研究によると、白亜紀末の地層にはチチュルブ衝突起源の物質が含まれること、チチュルブ衝突と生物大量絶滅のタイミングが一致すること、衝突による粉塵や硫酸塩、森林火災に伴う煤などの量や大気滞留期間は光合成生物の活動を長期間停止させうることなどが分かりました。これらは全て、生物大量絶滅の原因がチチュルブ衝突であることを示唆しています。
さらに火山噴火説については、火山活動を続いていたものの環境に与えた負荷は小さく、火山活動が最も強かった時期には生物大量絶滅は起きていないこと、複数の天体衝突説については、白亜紀末を含む約1000万年間、巨大天体衝突はチチュルブ衝突のみであることも解明されました。
今後もチチュルブ・クレーター内部の掘削調査などが行われる予定ですが、これだけの分野・国を超えた研究者が一つのテーマに関わり、成果を上げたということは、科学史的に例を見ないことです。大きなテーマについて世界中の研究者が協力し合うことが、今後も行われるといいですね。
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投稿者 kksblog : 2010年03月15日 11:42