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2ヶ月間におよぶ、初の植物長期宇宙実験「SpaceSeed」が終了 (2009年11月19日)

spaceseed_091119.jpg国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で実施されていた、植物を使ったはじめての長期生育実験「SpaceSeed」が11月11日(水)に終了しました。

地上で生育する多くの植物は、根を地下に伸ばし、水分や栄養分を吸収します。逆に茎は上に伸び、その先にある葉で光合成を行います。植物は重力を感じ、その情報をもとに根や茎の伸びる方向を決めているのです。それでは、重力のない宇宙では植物はどう生長するのか?これがこの実験のテーマです。

植物の生育における重力の有無の影響を調べるわけですから、他の条件を同じにした、0G(微少重力)と1G(重力)とを比較する必要があります。そこでこの実験は、微少重力実験区と人工重力実験区を比較しながら植物を生育させました。

実験には種子から発芽し、次の種子がとれるまでの期間が約60日とライフサイクルが短い、シロイヌナズナ、いわゆるぺんぺん草が使われました。生育に最適な環境を保つ植物実験ユニットが8月にスペースシャトルで「きぼう」に運び込まれ、9月10日より給水することによって実験を開始しました。そして3日後の9月13日に発芽が確認され、その後、花を咲かせて莢を作り、種子もできたようです。

この植物や種子は「きぼう」にて冷凍・冷蔵保存され、来年地上へ回収される予定になっています。回収後は、植物体の形や、細胞壁について詳しく調べられるそうです。また宇宙で採取された種子は、地上生まれの種子と発芽率やその後の生育に差があるのかどうかを調べる実験を地上で行います。

これまでスペースシャトル内でも様々な宇宙実験が行われてきましたが、滞在期間が2週間程度でした。今回の実験は2ヶ月間にわたる初めての長期宇宙実験で、国際宇宙ステーションの特色を活かした実験と言えます。この間、宇宙飛行士の作業と装置の自動運転とを組み合わせ、実験ユニットを運用し続けることができました。途中ユニットが一時的に停止するなどのトラブルも生じましたが、地上運用要員と宇宙飛行士の連携、地上からのコマンドで実験を再開できたそうです。

「SpaceSeed」は、宇宙での植物実験としても、初の長期宇宙実験としても成功に終わったと言えるのではないでしょうか。これを足がかりに、新たな実験や技術革新が登場しそうな予感に、わくわくしてきますね。

「きぼう」日本実験棟で実施されていた植物長期生育実験が終了しました:JAXA


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投稿者 kksblog : 2009年11月19日 09:23


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