●不況の中、母子家庭の半数は「奨学金だけでは教育費が足りない」と訴える (2009年08月04日)
病気や事故、自殺などで親を亡くした子ども達を支援する「あしなが育英会」は昨年、遺児母子家庭の生活状況が世界不況の影響で厳しさを増しているとして、その実態を把握するために2月、9月、12月と3回に渡って緊急アンケート調査を実施しました。それによると、進学した子どもが12月の調査では退学や進路変更を余儀なくされた家庭が3割にも上っていたことが分かりました。
こういった状況を受けて、同会は今年7月、高校奨学生1年生の保護者のうち、ひとり親家庭の保護者を対象にアンケートを行いました。その結果、近年の雇用不安や行政からの支援の縮小などから、特に母子家庭がさらに追いつめられている状況が見えます。この結果を発表することで、遺児をはじめとする貧困家庭の子どもの教育支援などを社会と政治に訴えるとしています。
母子家庭では体の健康、心の健康に不調を訴えている母親が増えているようです。「病気がち」「病気」を合わせた割合は46.9%と、2008年9月の調査より1割程度増えています。心の状態については、複数回答で不安や気持ちの沈みがあると答えた人が半数近くにのぼり、多くの母親が心の辛さを訴えています。
昨年秋以降、不況が母親の仕事に与えた影響は、手当の減額や給与カット、労働時間短縮などが挙げられました。また就労状況では正規雇用の割合が調査を追うごとに減少しており、逆にパート・アルバイト、派遣、臨時などの非正規雇用は増加し、約6割を占めるまでになっています。
教育費については収入・奨学金に対して「不足している」という回答が5割を超えています。足りない分については貯金の取り崩し、借金、生活費からの捻出などが上がっています。奨学金についての情報は学校や先生から知ることが多く、行政からの情報は最も少なくなっています。また自治体によっては日本学生支援機構の高校奨学金とあしなが育英会との奨学金の併用が不可、保証人が必要など奨学金を受けるための障害があることも多いようです。
将来安定した職業に就くために教育を受けさせたい、と願っても、親の雇用や収入が不安定なためにそれが困難であることは、子どもが成人したときに同じことを繰り返す負の連鎖に繋がりかねません。子ども達が望む将来をかなえるために、必要な教育が安心して受けられる仕組みが、経済不安の今だからこそ必要なのではないでしょうか。
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投稿者 kksblog : 2009年08月04日 03:12