●「きぼう」内にもカビ菌がいっぱい? ISS内の微生物動態に関する研究 (2009年08月10日)
最近は電車に乗ると「このつり革は抗菌加工されています」などと書かれているのを見かけます。抗菌ブームもここまで来たか!と感じますが、大気の外、宇宙空間でも菌対策は大変なようです。
先日まで若田宇宙飛行士が長期滞在していた、国際宇宙ステーション(ISS)。その内部でも、カビやバクテリアといった微生物が生息しているのだそうです。そういった微生物が、クルーの健康や機器の状態にどのように影響するかについては分かっていません。JAXAでは8月以降に、帝京大学・槙村准教授、大阪大学・那須教授を代表研究者として「国際宇宙ステーション内における微生物動態に関する研究」を行うことにしています。
この実験は、真菌培養シートによるサンプリング、スワブ(ポリエステル綿棒)によるサンプリングで菌を採取し、地上に回収して詳細な解析を行います。真菌培養シートは、カビやコウボといった真菌を発育させることができる特殊なシートです。これをきぼうの装置や壁に接触させ、その場所にいた真菌をISS内で培養します。スワブでは、きぼうの装置や壁を拭き取り保存チューブに入れて地上に送ります。
地上では培養シートの写真から、菌がコロニーと呼ばれる丸いかたまりの個数や大きさで、菌の発育の程度を評価します。また正確な菌種を判断し、遺伝子解析、薬剤感受性などの詳細な観察、DNA抽出、遺伝子解析などを行い、きぼう内の微生物量、種類、群衆の特徴などを調べます。
きぼうは設置されるときには無菌状態で運ばれてきますが、微生物を連れた人間が入ることで、微生物による汚染がはじまります。また無重力によって地上とは違う繁殖のしかたをする可能性もあります。
JAXAホームページ内には、この研究の紹介ページが開設されています。代表研究者の槙村准教授、那須教授のインタビューや、イラストや図解を交えた分かりやすい説明があります。宇宙での仕事は「地球の外」を調べる仕事だけではなく、宇宙に持ち込んだ「地球環境」の調査もあるのですね。
菌というと汚い、恐いといったイメージがありますが、実は食品や薬品などに利用されていたり、体の内外にいつもいる菌もいるのです。私たちの生活に深い関わりを持つ菌について調べてみると面白いかもしれませんよ。
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投稿者 kksblog : 2009年08月10日 07:36