●噛めば噛むほど脳が活性化!ガムも効果的 脳波を使った研究で証明 (2008年12月19日)
自然科学研究機構・生理学研究所の柿木隆介教授、坂本貴和子研究員は「良く噛むことは、脳を活発にさせる」ということを明らかにしました。
良く噛むこと(咀嚼)が消化に良いことは以前から言われていましたが、それと同様に脳の働きを活性化するのではないか?という説も根強くあります。例えば、野球のメジャーリーガーの多くはバッティングの直前までガムを噛んでいて、打つ直前に噛む事をやめてバッティングを行います。
これは投球への集中力を高める事に効果があるのではないか、あるいは噛む事によって脳が活性化されるためにバッティング技術が向上するのではないか、と考えられてきましたが、これまで科学的に証明された事はなかったそうです。
同研究所は、これを証明するために脳波を使って実験を行いました。脳波反応の1つとして有名なものに、P300というものがあります。この反応は、何らかの刺激が与えられてから300ミリ秒(0.3秒)後に出現する陽性(Positive)の反応です。
臨床医学では、加齢や痴呆によって反応が遅延することを利用して、病気の早期診断に使われています。また、脳が活性化すると反応時間が短くなることも良く知られています。
同研究所は、健常被験者に5分間、無味・無臭のチューインガムを噛んでもらい、その直後に音刺激を用いてP300を測定しました。このタスクを3回繰り返し、タスクとタスクの間にも同様のガム噛みを行いました。またボタン押しによる反応時間も同時に計測しました。
比較のために、(1) 何もしない、 (2) 噛むのと同じような顎の運動はするが、実際には噛まない、(3) 手指の運動(タッピング)を行う、という条件でも同様の実験をしました。すると、噛む時には、反応時間とP300反応の潜時(出現までの時間)が有意に短縮し、この運動を繰り返せば繰り返すほどその効果は顕著だったそうです。
しかし、何もしない時には変化は見られず、顎や指の運動ではむしろ反応が遅くなりP300の潜時は延長、しかも繰り返せば繰り返すほど、その傾向は強くなったということです。
この結果は、良く噛むこと(咀嚼)は脳を活性化することを明確に示し、それは類似の顎の運動や、単なる指の運動では出現せず、良く噛むこと(咀嚼)が特別に大切である事を示しているそうです。メジャーリーガーがガムを噛んでいることは効果的であり、脳を活性化させる意味があることを世界で初めて明らかにしました。
ガムを噛むことで脳の働きが活性化するなら、今後もっと子どもたちに日常的にガムを噛ませるべきかもしれませんね。しかし、メジャーリーガーのように常に噛んでいるのではなく、ガムのマナーなどはしっかり指導していきたいものです。
■関連記事
“チューイング”で脳の作業記憶が向上
10人のうち9人は、仕事や授業に眠気を感じる 常盤薬品
ガンバレ!受験生~休憩のおやつや夜食にいかが?受験生応援グッズ
« 「地震と安全」平成20年度版を配布―東京都教育委員会 | トップページへ 文科省、高校における看護教育の充実に向けた具体的方策を検討 »
最新記事一覧
- スポーツ指導者必携! 豊かな心を育み、強い絆をつくる新しい時代のコーチング本(2013年11月23日)
- 「エコプロダクツ 2013」が、東京ビッグサイトにて12月に開催されます(2013年11月22日)
- 関西四大学が入学生を対象に『薬物に関する意識調査』を実施(2013年11月21日)
- グッドデザイン賞受賞の「超変換!!もじバケる特選」、新たに6種類を発売
- メダリストの講演やシンポジウムも 「生涯スポーツ・体力つくり全国会議」(2013年11月20日)
- 秋の「SACLA(サクラ)見学ツアー」最先端研究施設でオイシイ発見をしよう
- キッズ用ブルーライト対策メガネ エレコムより新発売
- クロスリンクマーケティング、子ども向けタブレット端末「Rainbow Pad」、トイザらスで販売(2013年11月18日)
- 教育支援コーディネーター・フォーラム参加者を募集、模擬授業体験や講演も
- 元栄養教諭らが運営する学校給食サイト「おkayu」がオープン
- 大学における教育内容等の改革状況を調査~文部科学省
- 宇宙実験を知る 日本マイクログラビティ応用学会による公開講演・公開展示
- 反転授業の動画とパンフレットを公開 ゼッタリンクス(2013年11月15日)
- 自分らしさを伝え、記入・提出を効率的に~ エントリーシート「OpenES」学生登録開始
- 世界に飛躍できる人材を~進学・留学・キャリアの相談・体験イベントを開催(2013年11月14日)
投稿者 kksblog : 2008年12月19日 17:00