●一人一人の自立を支援し中途退学を防ぐ―埼玉県教育委員会がマニュアルを作成 (2008年12月12日)
埼玉県教育委員会は、「生徒一人一人の自立を支援し卒業に導くために ―埼玉県 中途退学防止の手引―」を発行しました。
これは、高等学校での中途退学を防止するために高等学校や中学校でできることを示したマニュアルです。「中途退学防止マニュアル作成委員会」が、中途退学の原因やその対策、学校での取り組み事例を検討し、マニュアルとしてまとめました。
このマニュアルは、埼玉県の公立高校の全教員と、公立中学校に配布される予定ですが、こうした中途退学防止のマニュアルが作成・配布されるのは全国初の試みだそうです。埼玉県では、県内全ての学校で高校中退防止に取り組んでいくとしています。
このマニュアルでは、中途退学の原因を以下の4つに分類しています。
・目的意識が希薄なまま入学する
・基礎学力が十分に身についていない
・集団生活にうまく適応できない
・非行・問題行動を起こす
実際、埼玉県の県立高校を中途退学した人に聞きとり調査をしたところ、退学時の状況として「授業についていけない」と思っていた割合は47.6%、退学した理由は、友人等の人間関係を含め「高校の生活が合わなかった」が19%で最も多いという結果でした。また、非行や問題行動から、学校をやめさせられる生徒もいます。
こうした状況を踏まえ、マニュアルでは、中途退学の原因別に対応策を示すことにしました。実際に各学校で行われている取組事例なども紹介し、実践的な内容になっています。
また、中途退学を経験した人の声として、中学校での進路指導において「高校の生活や勉強についてもっと教えてほしかった」という声が多かったことから、マニュアルを中学校にも配布し、進路指導に役立ててもらうことにしました。中学校の段階で将来の職業や勉強の大切さについて意識しておくことが、高校の中途退学防止につながるという考え方のようです。
義務教育でない高校でそこまでする必要があるのか、という意見もあるかもしれませんが、中卒の資格で就ける仕事が限られることから、高校の中途退学はワーキングプアなどの社会問題にもつながっていきます。中途退学をもはや、個人の問題としてとらえるべきではないのかもしれませんね。
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投稿者 kksblog : 2008年12月12日 15:57