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児童貧困率は人口全体の貧困率より25%も高い、仕事に就けない低学歴者も増加 (2008年11月04日)

OECD(経済協力開発機構)の新報告書『Growing Unequal?』によれば、OECD諸国の4分の3以上で過去20年間に富裕層と貧困層の格差は拡大しているそうです。

同報告書は、過去20年ほどの経済成長は貧困層より富裕層に恩恵をもたらしていると結論しています。また、カナダ、フィンランド、ドイツ、イタリア、ノルウェー、米国などの国では、富裕層と中間階級の格差も拡大しているとのことです。

一般に所得分布の広がりが大きい国ほど所得の貧困も広がっています。また、社会的流動性も、イタリア、英国、米国など格差の大きい国の方が低く、所得がより公平に分布されている北欧諸国の方が高くなっています。

所得格差の主なけん引役となっているのは、仕事に就けない非熟練者や低学歴者の増加です。単身者や片親世帯の増加も所得格差の拡大の一因だということです。社会集団の間には差が見られ、過去20年間に所得が最も伸びているのは退職年齢近辺の層であり、多くの国で年金生活者貧困率は低下しています。

これに対し、児童貧困率は上昇しています。(OECDでは世帯者数調整後所得中央値の50%以下の世帯者を貧困者と定義しています。)今では児童と若年成人の貧困率は人口全体の貧困率より25%も高くなっています。

OECD諸国は20年前の3倍もの資金を家族政策に費やしているのにもかかわらず、片親世帯の貧困率に至っては人口平均の貧困率の3倍にも達しているという結果になりました。

同報告書は、教育の改善もエリートのみではなく、万人に恩恵をもたらす強力な成長達成策となると結論しています。短期的に、各国は、失業・障害・早期退職給付に頼るのではなく、就職支援と勤労者世帯の所得を引き上げる在職給付の提供に一層注力しなければならないとしています。

具体的な対策として、「教育政策は今日の労働市場で必要とされる技能の習得を目指すべきである。」「失業者の就職を支援する積極的な雇用政策が必要である。」「在職福祉(welfare-in-work)政策は、所得補てんにより、困窮状態にある勤労世帯がまずまずの生活水準を保てるようにすることに資する。」などが挙げられています。

一昔前の日本にあった中流階級意識はすでに崩壊しつつあります。このような世の中にあって今必要なのは、同報告書にある通り、万人に恩恵をもたらす教育です。一人の力で国や教育体制を変えることは難しいですが、まずは子どもたちと向き合って将来の夢について語り合ってみてはいかがでしょうか。夢を持ち続けることで勤労意識の改革になっていくかもしれません。

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投稿者 kksblog : 2008年11月04日 20:07


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