●理化学研究所の快挙!アルツハイマー病の発症を制御できる可能性が高まる (2008年10月29日)
独立行政法人理化学研究所は、脳の記憶プロセスに関係するタウタンパク質をリン酸化する酵素の1つ「GSK-3β」の活性化が記憶を呼び出し、それを再び固定化するプロセス(記憶の再固定化)に必須であることを発見しました。
また、同研究と研究チームの最近の成果から、アルツハイマー病は単純なタンパク質の変成疾患ではなく、脳の記憶形成維持プロセスに大きく依存した疾患であることが明らかになってきています。
アルツハイマー病は、アミロイドベータタンパク質の蓄積とともに、タウタンパク質が嗅内野、海馬、扁桃体、前頭前野など記憶プロセスに重要な記憶ネットワークに蓄積することで、認知障害を引き起こします。一方、脳の老化は、認知症を引き起こす前にタウタンパク質が嗅内野に蓄積することで、軽い記憶障害に至るとされています。
同研究チームは、このタウタンパク質が蓄積する仕組みを明らかにする目的で、タウタンパク質の蓄積に関与するタウタンパク質リン酸化酵素GSK-3βの正常脳での役割を調べました。その結果、GSK-3βは、再起した記憶の再固定化に必要なことがわかりました。
加齢と共に知識が増えることで記憶の再固定化のプロセスが頻繁に活性化されますが、このことがGSK-3βをさらに活性化してタウタンパク質の蓄積を引き起こし、老化による記憶障害を引き起こすと考えられます。
また、同研究結果の成果から、脳科学が加齢脳の記憶プロセスに対応したライフスタイルや生活環境を提案することで、脳老化を遅延しアルツハイマー病の発症を制御できる可能性があります。
身近にアルツハイマー病の患者を抱える方々にとって、このニュースは大きな光となりそうですね。未来の研究者の卵を育てるという意味でも、科学や医学に興味のある中高生にぜひ聞かせてあげたいニュースです。
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投稿者 kksblog : 2008年10月29日 17:06