●個人に適合した投薬や治療を行うオーダーメイド医療が実現?! (2008年10月03日)
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、1人あたり約14万個所のDNA塩基多型の解析により、日本人の集団構造を大きく2つのクラスター(集団)にわけることを可能にしたと発表しました。
研究グループは、日本人7,001人と中国人45人のサンプルについて、1人あたり約14万個所のSNPの遺伝子型データを用いた主成分分析を行いました。その結果、日本人の大部分が本土クラスターと琉球クラスターに大別できることを明らかにしました。さらに、本土の中でも遺伝的な地域差があることが明確となったそうです。
病気のかかりやすさ、薬の副作用の有無などと遺伝子の関係を調べる場合、病気や薬の副作用を持つ集団(患者集団:ケース)と持たない集団(対照集団:コントロール)について、ゲノム上のDNA塩基多型のタイプを測定し、その頻度を比較する手法「ケース・コントロール解析」が一般的に行われています。
このケース・コントロール解析で用いる1塩基多型(SNP)の頻度情報は、病気や副作用と遺伝子の関係を解明し、個人に適合した投薬や治療を行うオーダーメイド医療を目指した研究の基盤情報として非常に有用とのことです。
理研ゲノム医科学研究センターは、ゲノム全体を網羅するSNP解析の手法を確立し、これまでに、心筋梗塞、関節リウマチ、変形性関節症、糖尿病性腎症などをはじめとする数多くの疾患に関連する遺伝子を特定してきたそうです。また近年、欧米の研究機関においても、同様の解析による疾患関連遺伝子研究が急速に進んできています。
SNPの頻度は人種、国、地域によって異なっており、民族の歴史の影響を受けています。このような状況を踏まえ、日本人の病気や薬の副作用に関連する遺伝子の探索をさらに深めていく上で、日本人の集団の遺伝的多様性と集団構造の理解の必要性が高まっているとのことです。
今後は、このように集団構造の理解や、分集団間の違いを理解することからケース・コントロール解析の精度が上がるため、疾患関連遺伝子同定の精度の向上が期待され、より確かなオーダーメイド医療の実現化につながると考えられているそうです。
遺伝子などの未知なる世界の研究が成功すると、医療もどんどん進歩していきそうです。このような研究成果は、理科や生物などに興味を持っている子どもたちに是非聞かせてあげたいですね。
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投稿者 kksblog : 2008年10月03日 20:55