●22歳の快挙! 慶大生の卒業研究が科学雑誌『Nature』に掲載される (2008年10月17日)
今春慶応大学理工学部物理情報工学科を卒業した内田健一さんの卒業研究の論文が、科学雑誌『Nature』に掲載されました。
内田さんは、鉄など、磁石に引き寄せられる金属の両端に温度差を与えると、磁気の流れ(スピン流)が発生するという「スピンゼーベック効果」という現象を世界で初めて発見し、その内容が評価されました。
科学雑誌『Nature』は、ノーベル賞につながるような研究が掲載されることもある、とても権威のある雑誌です。こうした雑誌に大学生の書いた論文が掲載されるのは極めて異例なこととして、注目を集めています。
内田さんが行っていたのは、電子の持つ磁気(電子スピン)を工学的に利用する「スピントロニクス」の研究です。この研究は、今世紀になって注目されたばかりの新しい分野です。
今回発見された「スピンゼーベック効果」は、もともと理論的には存在すると考えられていたこの現象を、電子スピンを計測する技術を用いて、実証したものです。この技術は、内田さんを指導する斉藤英治慶大専任講師らが確立したばかりの方法で、内田さんは半年がかりで実験を行い、この現象を裏付けました。さらに、東北大金属材料研究所と協力して半年かけて理論を確立し、卒業研究として論文にまとめたそうです。
今回発見された「スピン流」は、この技術を使って磁気ディスクに従来より高密度の情報を記録できる可能性があり、新しい技術として注目を集めています。
最近、相次ぐ日本人のノーベル賞受賞で、日本の基礎科学研究のレベルの高さが世界的にも評価されましたが、大学生の研究がここまで評価されたのは、日本の大学のレベルの高さを表しているともいえます。今回の成果を励みにより多くの若者が科学の道に進むことを期待したいですね。
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投稿者 kksblog : 2008年10月17日 17:00