●米国の苦学生を救え デジタル版教科書の普及についての提言 (2008年09月08日)
大学の教科書といえば、ハードカバーの分厚い本で、とにかく高い!というのが相場ですね。内容が専門的であるほど、廉価にはできないのは分かるのですが、学生には痛ーい出費です。
米国でもこういった事情は同様らしく、米国の学生が大学在学中に必要な費用のなかで、教科書にかかる金額は増えており、年間700から1000ドルにものぼるそうです。教科書の価格高騰は、1994年からのインフレ率の実に4倍にもなるというのですから驚きです。
そこで社会問題や学生の生活改善を求めて、全米の大学で活動している学生組織の連合体である“PIRGs”が、より安価に学生に提供できるデジタル版教科書の普及に向けて、今後取り組むべき課題をまとめた報告書を刊行しています。
この報告書によると、デジタル版教科書には「手頃な価格」「印刷ができる」「アクセスが容易」の3つの要素が必要不可欠だとしています。デジタルの本というと、電子書籍(E-Book)がまず思い浮かびますが、価格が高い、印刷や利用に制限があるなど、使いやすいとは言えなさそうです。
クリエイティブ・コモンズなどのオープン・ライセンスで刊行されている「Open Textbook」が、条件をクリアしているということです。こちらは安価で、印刷や利用がいつでも、どこでも、どのパソコンからでもでき、デジタル版教科書の3つの要素を全て備えています。
結論として、教科書の価格高騰を抑えるために、出版社は先述の3用件を満たすべきである、教員や教育機関は「Open Textbook」が市場で流通するように、支援を行うべきである、と提言しています。
専門性が高く流通量が限られていたり、写真が多く紙質を落とすことのできない教科書は、ある程度高価になるのは仕方ないことでもあります。しかしそれを見過ごしていては、経済力によって学ぶ機会や内容に差が出来たり、学ぶ意欲を削ぐことになりかねません。大学には教科書を買わせることより、学生達の意欲を大切にすることを第一に考えてもらいたいですね。
■関連記事
歴史教科書の朗読データが収録されたICレコーダー
Wiiで作る電子黒板
電子版教科書を普及させるには、何をすればよいのか?:報告書刊行(米国)
« 就学前教育を受けた児童とそうでない児童では算数の点数に差が出る―イギリスの調査より | トップページへ 平成21年度文科省初等中等教育局 概算要求 »
最新記事一覧
- スポーツ指導者必携! 豊かな心を育み、強い絆をつくる新しい時代のコーチング本(2013年11月23日)
- 「エコプロダクツ 2013」が、東京ビッグサイトにて12月に開催されます(2013年11月22日)
- 関西四大学が入学生を対象に『薬物に関する意識調査』を実施(2013年11月21日)
- グッドデザイン賞受賞の「超変換!!もじバケる特選」、新たに6種類を発売
- メダリストの講演やシンポジウムも 「生涯スポーツ・体力つくり全国会議」(2013年11月20日)
- 秋の「SACLA(サクラ)見学ツアー」最先端研究施設でオイシイ発見をしよう
- キッズ用ブルーライト対策メガネ エレコムより新発売
- クロスリンクマーケティング、子ども向けタブレット端末「Rainbow Pad」、トイザらスで販売(2013年11月18日)
- 教育支援コーディネーター・フォーラム参加者を募集、模擬授業体験や講演も
- 元栄養教諭らが運営する学校給食サイト「おkayu」がオープン
- 大学における教育内容等の改革状況を調査~文部科学省
- 宇宙実験を知る 日本マイクログラビティ応用学会による公開講演・公開展示
- 反転授業の動画とパンフレットを公開 ゼッタリンクス(2013年11月15日)
- 自分らしさを伝え、記入・提出を効率的に~ エントリーシート「OpenES」学生登録開始
- 世界に飛躍できる人材を~進学・留学・キャリアの相談・体験イベントを開催(2013年11月14日)
投稿者 kksblog : 2008年09月08日 10:57