●対人関係の察知力が境界性人格障害の原因? 境界性人格障害における協調性の問題について (2008年08月20日)
精神疾患の1つである境界性人格障害は、協調性などに関与する脳領域の異常に起因することが、海外の研究で明らかになりました。
境界性人格障害(Borderline Personality Disorder, BPD)は、精神疾患の1つで、女性に多いとされます。安定した対人関係を築くことや感情を制御することが難しく、家族や恋人など身近な人に見捨てられるのではないかという不安を抱くなどの症状が特徴です。
今回の研究では、境界性人格障害の患者と健康な人を対象にゲームを行い、その時の脳活性をモニターすることで、境界性人格障害に関与する脳領域を突き止めたということです。
ゲームは「信頼ゲーム」と呼ばれるもので、投資額を決める投資者と、投資額の中からどの程度返還するかを決める受託者の間でお金のやり取りを行うゲームです。このゲームでは、お金を多く投資することで返還額も多くなるため、お金を保持し続けるよりもプレイヤーが協力して投資を増やしたほうがより多くの利益を得ることができます。
このゲームでは、他者を信頼しより多くの額を投資することが利益を増やすカギとなります。今回の研究で、境界性人格障害の患者は、最大の利益を得るために必要な信頼のレベルを維持できないことや、自分だけが儲けようとする裏切り行為に対して関係を修復しようとしないことが分かりました。
また、このゲームの最中に境界性人格障害の患者の前頭領域において神経活性が反応していないことも分かりました。この領域は他人の意図や感情の状態に関する情報を追跡し、感情的意味を与える役割をしています。このことに関し、研究者は「境界性人格障害の患者は関係が危うくなっていることを察知できないために、協力することが困難である」としています。
今回の研究は、境界性人格障害の治療の改善につながるものであると同時に、精神疾患の研究の手法としてこれらのゲームが利用され、研究の進歩につながる可能性も示しています。
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投稿者 kksblog : 2008年08月20日 16:58