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脳の神経回路の「作り変え」をつかさどる遺伝子の働きを発見 (2008年08月20日)

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人間の子どもが言葉を覚えていく過程では、聞こえてくる音=言葉を理解して話せるように、脳の神経回路を活発に作り変えるということが行われています。子どもの方がスポーツや外国語などの上達が早いのは、脳が体験や経験に適応しながら発達しているからなのです。

このような脳が活発に神経回路を作り変える時期を「臨界期」と呼び、脳の研究はもちろん、幼児期の教育の対象ともなっています。理研脳科学総合研究センター神経回路発達研究チームは、胎児期に脳を作る遺伝子「Otx2」が、臨界期をつかさどる働きを持っていることを発見しました。

光のない場所で飼育したマウスは、視力の向上、臨界期が遅れることがわかっています。これから「見る」経験が視覚能力を発達させ、臨界期を促すと考えられました。そこで研究チームは、Otx2遺伝子によって作られるOtx2ホメオタンパク質が脳の視覚野においてどのように作用しているか調査・研究を行いました。

その結果、Otx2ホメオタンパク質は臨界期前には目の網膜で作られ、視覚経験に応じて視覚野に移動し、臨界期に必要な介在細胞を成熟させることが分かりました。Otx2ホメオタンパク質が生後に欠損するよう遺伝子操作を行うと臨界期は生じず、臨界期前にOtx2ホメオタンパク質を注入すると臨界期の早期活性化が認められました。

さらにOtx2遺伝子は、経験に応じて臨界期を導く「秤」の役割をしていることが分かりました。片目を閉じたマウスは通常、臨界期に開いた目から多くの情報を受け取れるよう、視覚野の神経回路が作り変えられますが、Otx2タンパク質を阻害すると、閉じた目からの情報も多く受け取っていて、臨界期が観察されませんでした。

臨界期は幼児期に特化した現象で、それがなぜかは分かっていません。それでも「三つ子の魂百まで」と言うように、幼児期によりよい体験・経験をさせることが大切であることは間違いなさそうです。勉強や習い事だけでなく、言葉遣いやマナーなど普段の何気ない行動を「子どもが見ている」ことを気に留めて、大人は見本になることを意識していたいですね。

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投稿者 kksblog : 2008年08月20日 10:35


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