●「人間は言語の宿主にすぎない」~言語の「起源と進化」を探る研究 (2008年08月18日)
7月28日(米国時間)付の『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に掲載された研究論文の中で、言語学者たちは、実験環境で人工的に作成された言語が、自らが確実に再生されやすい形に自然と適応しつつ、雑然とした状態から秩序だったものへと進化していくことを示しました。
エジンバラ大学の進化言語学者でこの論文の共同執筆者の1人であるSimon・Kirby氏は、「ダーウィン以来、自然には、設計者が存在しなくとも、自ら設計を生み出す仕組みがあると言われてきた。生物学においてはそう考えられるのが一般的だ。そして、文化に関しても同じことが起こるかもしれないとの主張がこれまでもあった。そして今、われわれは言語の進化のメカニズムを示したというわけだ」と話しています。
Kirby氏を中心とした研究チームは、被験者に対し、意味を成さない単語と対にした写真を何枚か見せ、少し時間をおいてから、単語と写真の組み合わせを思い出させる実験を行ないました。
思い出された組み合わせが正しくても間違っていても、答えはすべて記録され、次のグルーブ(次の「世代」)の言語訓練の基礎として使用されました。このプロセスを何度か繰り返していくうちに、たとえば、水平に動く何かを説明するためにある特定の単語が使われたり、跳ねていた物体を表すのに別の単語が使われたりという具合に、いくつかのパターンが生まれてきました。
「最初の反復学習から発生した言語は、意味が限定的で単純だった」とKirby氏は言います。でも、次の学習からは、重複する単語が排除されていきました。
Kirby氏はこの実験が、人類が原初の言語を身につけたのと同じプロセスに近いと確信しています。一方、言語学的進化は近代に入ってほぼ停滞しているとも、指摘しています。
言葉による誤解、というものも、よく生まれるものです。当たり前に使っている言語ですが、深みのあるものでもありますね。
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投稿者 kksblog : 2008年08月18日 11:17