●社会的に十分評価されない学校の家庭科教育をどう変えていく? (2008年08月13日)
日本学術会議は、ウェブページ上に日本学術会議健康・生活科学委員会、生活科学分科会の審議結果を取りまとめた提言である「食生活の教育」を発表しました。
同報告では、人間の一生における各ライフステージの食生活の現状と問題点、および食生活に関する教育の現状について分析し、より効果的な食生活の教育のための提言を行っています。
幼児期においては、食は家庭および幼稚園・保育園で営まれていますが、幼稚園教諭・保育士は必ずしも食に関する十分な教育を受けていないこと、また小学校教諭も食に関する十分な教育を受けておらず、これら教諭の教育の中での食に関する教育の充実が必要であることを問題点として挙げています。
また、中学校、高等学校における家庭科教育では、食に関する教育が行われていますが、社会的には十分評価されていません。家庭科の学習が生涯にわたっての食生活の実践の基礎知識となって定着するべきですが、それは必ずしも十分ではないことが問題だとされています。
幼児教育、小学校における提言として、現在のカリキュラムの中に食に関する内容を導入すること、また、教養教育として生活科学に関する教科を加えていくことが必要だと述べられています。
中学校、高等学校における提言では、生涯にわたっての食生活の基礎となる知識を習得できるような授業内容の充実が必要であること、その内容に関してはその基礎知識が社会人になってからも生かせるような一貫性・統一性を持たせ、食生活の実践につながるような知識の定着を図る必要があると主張しています。
また、これらの教育の場で、栄養士・管理栄養士と教諭が協力し、給食などを利用して指導を行うことは有効なことであり、一層の協力体制と栄養教諭の広範な配置が必要であるとしています。
近頃、「食育」が盛んにおこなわれていますが、それでもまだ教育現場の現状をみると十分ではないことがうかがえます。食事は大人になっても切り離せないものですから、今のうちにしっかり学校や家庭で指導をしていきたいものです。「この野菜はビタミンAが多いよ」などちょっとした情報を日頃から与えてあげると、子どもたちも自然に食べ物に関心をもってくれるのではないでしょうか。
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投稿者 kksblog : 2008年08月13日 16:21