●「義務教育制度」でなく「教育義務制度」 多様な選択肢を認めるための提案 (2008年05月23日)
日本の義務教育は小学校6年・中学校3年の9年間です。正当な理由なしで何日も学校に行かせなかったら、保護者は最悪の場合罰せられる…って、知ってましたか?
オンリーワンのこどもたち、姿形も、こころもそれぞれちがいます Photo by 坂井 和明
PHP総合研究所のWeb誌「PHP Policy Review」に、就学義務の見直しを提案する論文が発表されています。これは同社の研究員、亀田徹氏による研究発表で、小学校・中学校に通うことを定めている現行の義務教育制度から、認可されている学校以外での教育も義務教育と認め、子ども達の選択の幅を広げる「教育義務制度」への転換が望ましいとしています。
小学校・中学校へ子どもを通わせることは保護者の義務であり、それを履行しない場合には督促、それでも従わない場合には罰金が科せられることが学校教育法で定められています。もちろん病気などやむを得ない事情がある場合は、猶予または免除されますが、経済的事情の場合は市区町村による援助が受けられるため、「やむを得ない」とは認められません。
わが国での義務教育の就学率はほぼ100%ですが、不登校で学校に行っていない子や、学校教育法で「学校」と認められていないインターナショナルスクールに通う子もいます。こういった子ども達の保護者は、厳密にとらえれば就学義務に違反していることになります。
そこで、現行の「学校」にとらわれることなく、「教育を受けさせる」ことを義務化することが提案されています。義務教育の基本は従来通り学校へ通うことですが、学校に通わない選択をした保護者は教育委員会にその旨申請し、その代わり家庭やフリースクール、インターナショナルスクールなどで教育を受けさせる義務が生じるのです。
またこの場合、適切な教育が行われているかを教育委員会が定期的にチェックする、義務教育段階の終了時点で「中学校卒業程度認定試験」を行い、合格すれば高校入学資格が得られる、などの対策をとることで、一定の教育水準の確保を得られるとしています。
学校に通うことは、学力をつけるための教育以外にも意味があり、成長期の子どものこころとからだにとって、大切な場所であることは間違いないでしょう。しかし学校生活が苦痛と感じている子どもたちや、現在すでに3千人余の子どもが通っているインターナショナルスクールの存在を放置しておくのは、あまりにも無責任とは言えないでしょうか。私立学校や学校選択制など、「選べる教育」は既にあります。貴重な子ども時代をしあわせに過ごせるよう、考えることが求められているのかもしれません。
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投稿者 kksblog : 2008年05月23日 10:08