« 内田洋行が語学教育で新会社 ATR CALL販売開始 | トップページへ | eラーニングで学力低下対策を デジタル教材を配信開始  »

「小学校外国語活動」必修化の理由 (2008年05月01日)

文部科学省」では「英語ノート」の補助教材として、「英語ノート」に準拠したデジタル教材と、音声CD、指導書を今年度中全校に配布する。
「小学校英語導入」に尽力した文部科学省 初等中等教育局 菅 正隆氏に「小学校英語活動」のポイントを聞いた。


文部科学省 初等中等教育局 菅 正隆氏


 現行の学習指導要領では、小学校の「英語活動」は、各自治体の実状により主に「総合的な学習の時間」の中の「英語活動」で取組んでおり、現在約97%の自治体が何らかの形で行っています。外国語や外国文化に触れる活動が中心ですが、スキルベース中心の活動もあります。中には、中学校の英語学習の前倒し学習となり、子どもたちがかえって英語嫌いになった、という報告ありました。

 そこで、これまで各校の実状にあわせ自由に行ってきた小学校英語活動に、ある程度のラインを引く必要がある、ということになり、新学習指導要領では、様々な意見と全国の状況を踏まえつつ小学校外国語活動の「落ち着き所」として、小学校5年生、6年生で年間各35時間を設定しました。
 この時間数で、外国語教育において様々なものを定着させることを想定しているわけではありません。小学校外国語活動は、中学校、高等学校へとつながる「導入期間」としての「外国語活動」です。小学校段階で土壌を作り、種を捲き、中学高校段階で花を咲かせる、という流れとなります。
 加えて中学校の新学習指導要領では、外国語は週3回から4回に増えており、他教科と比較しても、最も多くの時間が割かれることになります。

「小学校5、6年生から英語開始」の理由

 今後、文部科学省では、「英語ノート(試作版)(以下「英語ノート」)」を始めとした教材、音声CD、ソフトウェア、教師用指導案を提供、学校現場を支援していきます。
 「英語ノート」は、これまで、それほど英語活動に積極的ではなかった学校が、5、6年生から外国語活動を始める、というスタンスで作成しています。今まで月1回程度の活動だった学校の場合は、「英語ノート」などの教材を使い、ある程度の水準まで引き上げていただきたいと考えています。
 「英語ノート」は新学習指導要領に則ったものであり、新学習指導要領は「最低基準」を示したものですから、これまで英語活動を積極的に行ってきた学校の活動を制限するものではありません。さらに「英語ノート」は、「教科書」ではないので、法的な拘束力を持つものではありません。既に地方自治体予算でALT派遣を行い、教材を予算化、独自カリキュラムを導入している自治体のやり方を否定するものではなく、地域や子どもの状態によって実態にあわせて活用していただければ良い、ということです。
 加えて、文法などの「積み重ね方式」にはなっていませんから、必ずしも順番通りに取組む必要はなく、興味関心のある個所から始める、あるいは部分的に割愛する、というアプローチも可能だと考えています。文法的な整理は、中学校からの取組みになります。

「言葉の力を身につける」英語活動を

 中央教育審議会などでも「外国語教育よりもまず国語教育が先」という意見はありました。その理由は「国語力が危うくなる」というものです。しかし、週1時間程度の外国語活動で「危うくなる」ほど、日本人の国語力はやわなものでしょうか。
 現状で「言葉の乱れ」が見られているとしても、それは「外国語」の学習によるものではなく、今後「外国語学習」を行うことでさらに「乱れる」という図式にはならないと思います。
 さらに新学習指導要領では、国語の時間も増やしていますので、「英語に関わっている分、国語の活動が減る」ということもありません。
 むしろ、外国語活動を通して自分の気持ちを表現し、相手に伝える、という活動は、研究開発学校の調査から、積極性が身につき、他教科など日本語活動において良い影響を与えるという報告が出ています。また、子どもたちが外国語活動や交流活動を通し、「言語」や「コミュニケーション」の重要性を学び、積極性が増した、という報告もあります。加えて、外国語活動は、子どもたちをコントロールしながらコミュニケーション活動を図る必要があり、教師側の指導方法も変わってきます。「外国語活動」という新規分野の導入は、教員にとって良い刺激となり、他教科指導の際にも良い影響を与える、という報告もありました。
 新学習指導要領では「言葉の力」の育成に特に重きを置いておりますが、外国語活動もまた、言葉の教育のひとつとして、言葉の大切さや意味など「言葉に対する考え方」を改めて学ぶ良い機会となります。言葉に対してぞんざいになりがちな今の状況を、外国語を学ぶことで見直していくというアプローチを意識することが重要です。

教材やプロジェクター、電子黒板の活用で学級担任を支援

 「英語ノート」は今年度、小学校外国語活動の拠点校の小学校高学年と全教育委員会等に配布、拠点校で実際に授業で活用してもらい、その結果得られた意見を随時反映させてバージョンアップしていきます。その後、今年度中にバージョンアップした「英語ノート」をすべての教育委員会とすべての学校の小学校5、6年生に音声CD付きで配布します。
 加えて、教師用の指導資料と電子黒板などでも活用できる「英語ノート」準拠のプロジェクター用デジタル教材も作成、来年度から活用できるよう今年度中に配布を予定しています。
 ソフトを有効に活用するためには、液晶プロジェクターや電子黒板が必要です。それは各自治体、学校で用意していくことになります。全国に年間約1500億円もの教材費が計上されていますので、それら予算を教育費として有効に活用していただきたいと思います。



« 内田洋行が語学教育で新会社 ATR CALL販売開始 | トップページへ eラーニングで学力低下対策を デジタル教材を配信開始  »

最新記事一覧

投稿者 kksblog : 2008年05月01日 15:20


コメント
ブログ内検索
昔の記事を読む
メルマガ・RSSで読む
毎週水曜日、1週間分のニュースをまとめてお送りします(無料)。<サンプルはこちら>

【購読はこちら】
ネタを提供する
教育に関するネタ大歓迎。お気軽にどうぞ!!



ネタなどへのお返事
KKSブログ for mobile
mobileaccess.gif

最新15記事の大事なトコだけ読めるようになってます。あと、古い携帯は文字化けするかも


KKS Web News 教育家庭新聞(C) KKS ブログトップ