●理数系希望者の数学力は昔と比べ伸びている? 学力調査の結果より (2008年02月04日)
1月26日に東京理科大学数学教育研究会の月例会で発表された学力調査の内容の一部が、読売新聞(1月29日朝刊)に掲載されました。その時の中間報告書(案)がウェブ上で公開されました。
by djayo
調査の対象になったのは、高校3年生のうち「数学Ⅲ」、「数学C」を現在履修している生徒です。今の教育に関する話題の中に、学力低下の問題がありますが、理系を希望する高校生の現在の学力を的確に把握する信頼できる資料がないのが現状です。そのため、今回、東京理科大学数学教育研究会より理数系進学希望者に対して数学の基礎学力調査がおこなわれました。
調査校で、高校3年生の理数系生徒の割合は男子校で44%、女子校で23%、共学校で38%、全体としては38%でした。また、男子生徒の中の理数系履修者の割合は45%、女子生徒の中の理数系履修者の割合は24%となりました。
1980年度実施のSIMS(第2回国際数学調査)の理数系高校3年生の男女別の成績の有意差検定では、136題中81題は男子の成績が女子より勝っているという結果でした。2005年度文部省の教育課程実施状況調査では、高校3年「数学Ⅰ」36題の平均正答率が男子53.7%、女子47.2%で男女間の成績に有為な差が認められていました。
しかし、今回の各テストの平均正答率の間には、いずれの平均正答率にも有為な差はみられませんでした。すなわち、男女の成績の間には有為な差がないということが証明されました。また、大規模調査であるIEAが実施したSIMS(第2回国際数学調査)の中から基礎・基本問題を32題選択して、つまり同じ問題を利用しての学力調査を実施しました。
その結果、全体32題中、今回の調査の方が成績がよかったのは19題、SIMS調査の方がよかったのは6題、両調査に有意差がみられなかったのは7題でした。この結果から、1980年度実施のSIMS当時の生徒と比べて、今回の生徒の成績は劣っていないといえることも証明されました。
学力低下が叫ばれる中、この調査結果により明るい光が見えてきました。また、理数系を希望する女子にも今回の結果は大きな励みになったのではないでしょうか?「好きこそものの上手なれ」で、理数系希望者にはこれからも数学の力をどんどん伸ばしていって欲しいものですね。
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投稿者 kksblog : 2008年02月04日 21:22