●「ポスドク」将来への不安・悲観を解消するために (2007年12月10日)
10月18日、日本学術会議基礎生物学委員会・応用生物学委員会合同生物科学分科会は、「研究・教育者等のキャリアパスの育成と課題」と題する公開シンポジウムを、日本学術会議講堂にて開催しました。
シンポジウムでは、厚みを増した博士取得者層とサイエンスを目指す学生に明るい展望を拓くため、産官学の各界の知恵を結集し、どのような取り組みが有効か考える事を目的としています。
シンポジウム内に「ポスドク」という言葉が出てきます。ポスドクとは、ポストドクターの略で、博士号(ドクター)を取った後という意味だそうです。主には博士号取得後の任期付きの職(博士研究員とも呼ばれる)を指すようですが、大学院重点化とポスドク1万人計画の施策によって、わが国のサイエンスを担うべき高学歴の若者の数は大幅に増加したと言われています。
たくさんの講師の方々が講演を行いましたが、大垣憲之氏(リクルートエージェント執行役員)の 「リクルートからみた高学歴人材の活用について」という講演の中で、「ポスドクの方の登録決定率(当社に転職相談され当社で転職を実現された方の割合)は約20%と全体(25%)より低くなっています。相談者は工学系より理学系が多く、30歳前後がほとんどですが35歳以上の方もいる。学士・修士卒と比較して民間企業に関する知識が比較的少なく、転職適齢期の認識も少し遅い、などという傾向があります。」 と述べていました。
山脇良雄(文部科学省科学技術・学術政策局基盤政策課長)の「若手人材のキャリアパス多様化に向けて」という講演では、ポスドクを対象とした求人情報と求職者情報が圧倒的に不足しているという課題について、認識・共有していると共に、文部科学省では、平成18年度から「科学技術人材のキャリアパス多様化促進事業」を開始したと述べています。
大学・企業・学協会等がネットワークを形成し、企業等と若手研究人材の「出会いの場」の創出や、キャリアガイダンス、派遣研修等の能力開発、キャリアパス多様化に係る意識の醸成など、組織的な取り組みと環境整備を行うことを目的としているそうです。
閉会の辞では、「大学では、若い研究者が将来に不安を持ち、閉塞感が漂っているそうです。日本のサイエンスにとって重大な危機で知恵を絞って解決の方策を考えなくてはなりません。」としています。シンポジウム参加者にアンケートをとっていますが、ポスドクとなっての不安などが多数寄せられていました。
私達の生活をより良くし、新しく切り開いてくれる各分野のポスドクと呼ばれる方達の社会的地位がもっと高くなってくれることを望みます。
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投稿者 kksblog : 2007年12月10日 14:59