●最高峰の頭脳にもっと活躍の場を! 「Dr's イノベーション」 (2007年11月06日)
独立行政法人・産業技術総合研究所は、若手博士のキャリア開発情報を発信するサイト、「Dr's(ドクターズ)イノベーション」を開設しました。
ここで言う「ドクター」とは、日本語では「博士」すなわち、大学院の博士学位試験に合格した人のことです。高度な知識や研究能力を持つ博士は、さまざまな研究分野において活躍することが期待される人材です。しかし日本では、博士の民間企業への就職率は約17%で、アメリカの約半分程度にとどまっています。
就職していない博士の進路は、大学の講師や助手など、国などの研究機関などありますが、「ポスドク」と言われる人たちが年々増えています。「ポスドク」とは「ポストドクター」の略で、博士を取得した後に、大学や公的研究機関、民間企業などで、任期付き雇用の形態で研究などに関わっている人たちのことです。
ポスドクが増えている背景には、1996年に「ポストドクター等1万人支援計画」という政策が実施されたことがあります。その目的は、任期付きの契約社員のような形態での雇用によって、人材の流動性を増し、大学や研究機関の間の競争力を高めること、またポスドクが任期終了後、民間企業に研究職として正規雇用されることがあります。しかし実際には、ポスドクの民間への就職率はあまり向上しておらず、大学などのポストを希望しても、空きがないために長年ポスドクを続けざるを得ない、という状況です。
「Dr's イノベーション」では、理系分野におけるポスドクなどの若手博士が、社会のさまざまな場所でその能力を発揮できるような環境整備をしていきます。具体的には、ポスドクのための就職支援やスキルアップのためのセミナー開催、ポスドク、企業に就職したポスドク経験者、企業の人事担当者などを対象にしたメールマガジンの発行などの活動をしています。
高度な知識や能力を、十分に活かす場所がない、というのは実にもったいないことです。実際に日本で博士課程を修めた人たちは、海外の大学や企業へ進む人も少なくありません。これから大学、大学院を目指す若者たちに希望を持たせるためにも、博士号取得者と企業など、その力を遺憾なく発揮できる場所との橋渡しになってもらいたいものです。
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投稿者 kksblog : 2007年11月06日 04:06