●誰でも作れてノウハウ共有 フラッシュ型教材活用セミナー (2007年09月19日)
単語を書き入れたカードを先生が紙芝居のように次から次にテンポ良くめくり、生徒はそれについていこうと同じリズムで応える。
そうした従来の紙をベースにしたフラッシュカードに代わり、Microsoft
PowerPoint形式のデータを利用したフラッシュ型教材が、現在、Web上で無料配信されています。
9月1日には、そのフラッシュ型教材を活用したセミナー「楽しくわかる!あすから使えるフラッシュ型教材」
(主催 JAPET▽共催 日本教育工学協会▽協賛 チエル株式会社)が立正大学で開催されました。
教育の情報化をリードする堀田龍也氏
(独立行政法人メディア教育開発センター准教授)や、高橋純氏
(富山大学人間発達科学部人間環境システム学科准教授)による解説をはじめ、フラッシュ型教材の活用事例の紹介、ワークショップなどに小・
中・特の教員ら約110名が参加、先生方の創意工夫の溢れた発表に会場は賑わいを見せていました。
ドレミファソラシド~リズミカルに赤く記した鍵盤の音を当てる学びの一こま
渡邉光浩教諭(宮崎県三股町立勝岡小学校・5年生担当、
研究主任)は、「フラッシュ型教材を使った授業」で実際の授業における活用について発表しました。
教材の活用場面について、渡邉先生は「導入の場面で、その時間と関連した項目を復習したり、終末で学習内容の定着に使うことで、
集中力や意欲の向上につながる」と紹介。
また「小数÷1桁の整数」の30問を暗算で解くのに、フラッシュ型教材を活用した場合と、
問題を板書して答えだけノートに書かせる場合の2通りで指導にかかった時間を(フラッシュ型教材=2分59秒、板書からノート=7分37秒)
比較し、「板書で指導に時間がかかるものも、フラッシュ型教材なら時間が短縮できた。その分を子どもたちの状況を確認する時間に充てられる」
と説明しました。
パネルディスカッション、
ワークショップと賑やかなセミナーになった
◇ ◇
「必要なのは、最新の技術や高度な技術、誰もやったことのない凝った授業実践ではない。普段の授業として成立させられるか、
児童生徒にきちんと学力をつけられるかが大切」
06年10月、堀田龍也氏と共に「フラッシュ型教材授業実践プロジェクト」を立ち上げ、実践を進めてきた高橋純氏は、
教科でのICT活用の要件について説明。
そのうえで、フラッシュ型教材の特徴について「授業の中で、短時間でテンポ良く繰り返しながら使えるので、
生徒の顔が上がり緊張感も生まれ集中する。また褒めまくって使うことで生徒に自信も付く。
使うタイミングも授業の冒頭の5分にムード作りとして、また終盤5分のまとめにも使うことができる」とまとめました。
ワークショップ
実践校の発表を受けて、参加者はスライドに見立てたA3大の画用紙4、5枚にコンテンツを描きました。鍵盤の絵に丸印をつけ、
印の描かれた鍵盤の音を問う問題、足し算引き算の穴埋め、部首の名前、地図記号など様々なアイディアが形に。作成後は、
各グループで決められた教材営業係長が、会場内の他のテーブルへと自分たちの教材の工夫や狙いを説明に回りました。
国語や算数、
理科など幅広く活用できるフラッシュ型教材
参加者からは「子どもにすぐ実践できる」「教材を蓄積して次年度の学級にも使える」「一つできると次のアイディアが生まれてくる」
「フラッシュ型教材のことは知っていたが、どういう場面でどのように使えば良いのかイメージができた。発問が大事で順番を考えていきたい」
といった声が聞かれました。日頃の授業に直結する教材であることに加え、手軽な点が先生方のアイディアを次々と生むようです。
◇ ◇
教材作成について堀田氏は、
「誰にでも使えて入手できるので他の先生方の授業のノウハウを知ることもできる。
またパワーポイントで作成するので誰にでも作れる。研修に使えば、活動を通して授業作りを議論でき、満足度の高い研修にもなる。
教材として授業改善にもつながる」と述べ、
「手軽に作れるが、これは教材なので教育的な視点から作る必要がある。その点からも先生方が作るのに意味がある」と語りました。
授業での活用のコツは「スピード感」「毎日ちょっとずつ」にあるとのこと。
このフラッシュ型教材は、Webサイト 「e-teachers」
からダウンロード可能(会員登録-無料)。既に同サイトには約800のコンテンツが揃っており、
先生方の利用が進んでいます。先生主体の教材開発、そして共有へ。シンプルだけど効果大。先生方の活き活きとした顔に、
今後の同教材の未来が示されているようでした。
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投稿者 kksblog : 2007年09月19日 17:44
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