●世代交代が産業界の信頼度低下の要因? ~産業人メンタル白書の報告から~ (2007年09月10日)
財団法人社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所が2007年版の「産業人メンタルヘルス白書」を発表しました。
この調査研究の白書は、2001年から毎年継続的に発表されているもので、「心の病」がだんだんと増加傾向にあることが近年社会問題化していることを受け、産業界においてのメンタルヘルスへの各企業の取組みを促す目的を持っています。
今年度の調査研究においては、産業人の社会的な信頼度が徐々に下降傾向にあること、そしてその結果が団塊の世代といわれる年代から若い年代への世代交代が大きく関わっていることが調査の数値により明らかとなっています。
同研究所が自治体に対して行った信頼に関する12の項目からなるアンケート調査により、過去25年間の信頼度の推移が発表されていますが、これにより12項目全てにおいて産業人の信頼は時を経るごとに低下の傾向にあることが明白となりました。
この結果がどの様な理由で世代交代が原因であるという結果に結びつくのでしょうか。このカギは12項目の中の「会社の最高経営層に信頼感を持っている」という項目にあります。この問いの結果を年代別に統計したところ、高年齢層が抜け若い世代が産業界を引継いだ年代に比例して信頼度が下降しているという結果が出ているのです。
この結果を受け、同研究所では「新しい信頼関係の確立が急務である」と結論づけています。
この調査結果と同様なことは教育の現場においても起こりつつあることのようです。東京都新宿区の教育委員会では、今年4月に新規の採用教員に対してのサポートに対する具体的な取組みや提言をまとめ、管理職のメンタルヘルス研修が重要であるという見解を報告書としてまとめています。前述の社会経済生産性本部でも、自治体アンケートの結果の中で、この3年間で「心の病」が増加傾向にあることを示し、教職員が子どもの教育に対し一人で悩みを抱えてしまう背景があることが伺えます。
これは一昔前に「新人類」といわれた世代が現代でちょうど社会を支える年代となってきていることも関わりがあるのかもしれません。新人類は情報化社会の中で現実にある世界がヴァーチャル化してしまい、現代社会で生きることを情報化された現実を「情報処理」することであると定義し理論づけようとする傾向があるそうです。教育の現場で生身の人間を「情報処理」することは、この年代にとって大きな課題となるのかもしれません。
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投稿者 kksblog : 2007年09月10日 15:40