●”家で自由にしたい”子どもと”塾に行かせたい”親 (2007年07月10日)
学習塾に通う小中学生(小学生4,622名、中学生 9,068名)及びその保護者(7,331名)を対象に、現在の放課後生活に関する実態と意識調査が社団法人 全国学習塾協会によっておこなわれました。
児童生徒・保護者における放課後生活の実態と意識、公教育再生に関する保護者の考えなどを明らかにし、今後の民間教育産業の事業活動における基礎資料を得るために実施されました。また国民のニーズとしての利益を児童生徒や保護者に還元するために調査されたものです。
●小学生と中学生の調査結果
”学期中の放課後のすごし方”で、 最も多かった小学生の回答は「習い事をする「学習塾に行く」で、2人に1人はどちらかに通っていることになります。また、土曜日になると「学習塾に行く」が圧倒的多いです。一方、中学生の回答は、「クラブ・部活動をする」が約7割で他を大きく引き離しています。次いで「学習塾に行く」となっていますが、この結果から中学生の放課後や土曜日における生活の中心はクラブ・部活動であることがわかります。
”放課後6時まで学校で遊べるなら参加するか”という問いには、最も多かった回答は「よろこんで参加する」で、「参加すると思う」と合わせると小中学生ほぼ2人に1人は学校で遊びたいと思っています。
”学校の授業で分からない問題があるとき、どうしているか”という問いには、中学生になると「友達に聞く」が多く、家族や学校の先生に聞くという回答は小学生よりも少ないです。
”週末の過ごし方について”は、中学生は「ゲームやTVを観る」「趣味に関すること」が多いです。「自宅で勉強・学習」は5人に1人ですが、割合は小学生よりも低く、学校以外での学習習慣は少なくなっているようです。また、放課後はどうしたいかという問いについても、「家で自由にしたい」が5割近く、「外で遊びたい」2割を大きく上回っています。毎日学校と塾通いで勉強に縛られているので、週末くらい自分の好きなことをしてリフレッシュしたいという気持ちがこの調査結果ではよく表れています。
●小中学生の保護者の調査結果
学校が土曜日に半日程度、補習を実施するという意見について、機会が確保された場合は参加させたいと願う保護者は半数を超えています。総じて、放課後に「家で自由にさせたい」と思う保護者が少ないことから、保護者は学習塾や学校において学びや遊びの場が増えることを歓迎していることが推察できます。
小学生としては、塾で勉強するより「外で遊びたい」「家で自由にしたい」という意見に対し、保護者は、「外で遊ばせたい」は最も多かったものの、「塾で勉強させたい」「家で自由にしたい」と順位が逆転しています。家でのんびり自由にしたい子どもと塾で勉強させたい親の思惑に違いがあるのがわかりますね。
教育再生会議第2次報告に盛り込まれる、授業時数10%増加の具体策である「1日7時間授業」導入について、保護者の約半数は歓迎していません。また「夏休み等の短縮」について、小学生保護者の賛否はほぼ二分されていますが、中学生保護者の場合は、子どもの主体性にまかせる傾向があり、3人に1人の割合で歓迎していないようです。
今回の調査では、”真ん中以上の学力のある子どもは学習塾に行くことを禁止”を否定する保護者の声が大きいようです。保護者は、公教育の再生に学習塾の禁止は結びつかない、禁止する正当性がない、と認識していることがわかります。また、児童生徒が学習塾に通う理由として、最も多かったのは「学力の向上」「志望校の合格」「学習意欲の向上」であり、保護者が、受験勉強の場および、学力上位者の受け皿としての”学習塾”にニーズを感じていることも調査結果から明らかです。
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投稿者 kksblog : 2007年07月10日 10:43